木内登英氏:日銀の政策調整が債券・為替に及ぼす影響

7月まで日銀審議委員を務めた木内登英氏が、昨年以降の日銀内部で進んだ変化を明かした。
その上で今後の日銀の政策調整と市場への影響を予想している。


「(日銀は)心の準備を関係者に促している。」

木内氏は日経電子版で、先月の黒田総裁のリバーサル・レートへの言及の意図を解説した。
そのために、今に至る日銀内部の変化をインサイダーだった木内氏が生々しく語っている。

2016年1月 総裁主導でマイナス金利を導入するも、イールド・カーブが想定以上にフラット化し、内外から不評。
2016年9月 「総括的な検証」を実施し、長期金利ターゲット導入で低下しすぎた10年金利の押し上げへ。
単に金利を押し下げればいいという考えから転換。
2017年11月 黒田総裁が講演でリバーサル・レートの議論に言及。

木内氏は、黒田総裁のリバーサル・レートへの言及を解説する。

「18年前半、早ければ1-3月期の政策調整に向けた日銀の地ならしだと思う。
日銀は平たん化しすぎたイールドカーブ(利回り曲線)のうち長期、超長期の利回りを少し上げたいと思っているのだろう。」


具体的には、木内氏がかねてから主張していたように、長期金利ターゲットの年限を短期化することが考えられるという。
木内氏はこのインタビューで、10年から5年への変更を例示している。

「黒田総裁は11月の講演で、経済・物価に強い影響を与えるのは短期金利と長期金利の中間だと説明している。
11月の講演が布石となり『5年金利を操作する方が、経済・物価への影響力が高まり、2%の物価目標により近づく』といった前向きな説明ができるだろう。」

この大義名分には一定の説得力がある。
最近、元日銀理事の早川英男氏も、生産性向上に資する「省力化投資の回収期間は通常3-5年程度だから、長期金利を強引に押し下げても、その効果は大きくない」と書いている。
長期金利を押し下げても、投機的色彩の強い資金需要に流れてしまうのだという。

木内氏によれば、長期金利ターゲットの維持に必要となる国債買入れ額は年限が短いほど少なくてすむのだという。
年限の短期化はバランスシート膨張のペースをさらに落としてくれるだけでなく、国債の枯渇の問題も和らげてくれる。
では、それが債券・為替市場に与える影響はどうなるのだろう。
木内氏は、債券市場への影響は限定的で、金利急騰などは予想されないという。

「債券市場は日銀の意図を織り込んでいる。
日銀との意思疎通がさほど取れていない為替市場は、長期金利の上昇に過剰反応する可能性はある。」


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