投資

ブラックロック 最後に残されたヘッジ手段:ブラックロック

資産運用の世界最大手ブラックロックのラス・ケステリッチ氏が、金投資のパフォーマンスならびにヘッジ手段としての有効性について解説している。


現在の市場の奇妙な側面は、リターンを探すのが簡単なのに、ヘッジを探すのが不可能なことだ。
ほとんどのリスク資産がじりじり上げる中、逆方向に動く資産を見つけるのがどんどん難しくなっている。

ケステリッチ氏が10日、自社のブログで書いている。
さまざまな資産価格の間の関係が正の相関となり、リスク資産価格に対するヘッジ手段が見出しにくくなっている。
伝統的なヘッジ手段であった債券に加え、金もヘッジ手段としての有効性が低下しているのだという。

昨年10月以降、価格推移においてもヘッジとしての有効性においても振るわないというから、踏んだり蹴ったりだ。
今年に入って債券の実質利回りが上昇したことで、金の相対的な魅力が低下した。
また、週次で見ると、S&P 500が1%ポイント上昇すると金は約0.20%上昇する、正の相関にあるのだという。
つまり、(少なくとも)株式に対するヘッジ手段としては有効ではない。

ただし、ヘッジというのは株式等に対するものだけではない。
金を買ってきた投資家が心配していたのは、株式等リスク資産の下落だけではあるまい。
むしろ、彼らが心配しているのは、将来起こるかもしれないインフレ昂進であろう。

残念なことに、金のインフレに対するヘッジ能力はやや誇張されてきた。
極めて長い期間、例えば数世紀という期間でいえば、金は合理的な価値の保蔵手段だが、最近を含めてほとんどの投資ホライズンでは信頼性が小さくなる。

ケステリッチ氏は、金投資のポイントを2つ挙げる:
実質金利とドル価格だ。

金をクーポン・償還のない債券のようなものと捉えるなら、実質金利の効果は明らかだ。
実質金利上昇は金価格にマイナスだ。
これは、クーポンまたは償還のある債券との比較で、金の魅力が低下することによるものだ。
そして、遅かれ早かれ経済が再始動するなら、実質金利は上昇するだろう。

最後に残るのがドル価格。

「何があれば、金は機能し始めるだろう?
おそらく、米ドルの低下または崩壊だろう。
金の最近の株式やインフレとの相関がプラスから実質ゼロだったにもかかわらず、依然として米ドルとの関係は強いマイナスを示している。」

ドル相場とインフレは密接な関係にある。
インフレ・ヘッジにはならないが、ドル・ヘッジにはなりうるという。
ここで、ドル以外の世界で生きている投資家にとっては少々複雑になる。
日本人がドル安を恐れるなら他にもっと直接的なやり方があるし、ドル安でなく円安に対するヘッジとしての有効性も検証しなければいけない。

ケステリッチ氏は自身の結論を述べる:

ドル安について強い見方がない限り、私なら金保有を減らすだろう。
まだヘッジ手段を探している投資家に一言:
現金を。

ケステリッチ氏は決してドル安を予想すると述べているわけではない。
むしろ、トーンとしては金保有に後ろ向きだ。

なんとも難しい時代だ。
ドル安になっても、ドル現金のドル建て価格が下がることはない。
しかし、現金はリスク資産価格に対するヘッジとしての有効性は限定的(相関ゼロ)だし、インフレへのヘッジにもならない。


-投資
-, , ,

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 本文中に《》で囲んだ部分がありますが、これは引用ではなく強調のためのものです。 その他利用規約をご覧ください。