政治

ジョセフ・スティグリッツ 最低税率で底辺への競争を終わらせろ:ジョセフ・スティグリッツ
2019年12月13日

ジョセフ・スティグリッツ教授が、税率について国際的に最低値を定める必要性を説いている。


世界的な最低実効税率を設定し、底辺への競争を終わらせることが重要だ。
企業は、様々な立地を股にかけた、ある種の悪しき競争を引き起こしている。

スティグリッツ教授が、自身がコミッショナーを務めるICRICTのビデオで、国際的な減税競争に歯止めをかけるための最低税率の設定を呼び掛けている。
教授が例として挙げたのがamazonの第2本社計画だ。
同社は238の候補地から立地の選定を進め、様々な優遇策を引き出しながら絞りこんでいった。
最後にニューヨークとバージニア州アーリントンが残った。
しかし、ニューヨークは民主党左派の反対が強く、誘致を断念した。

「ニューヨーク市はとても適切に、これはやりたいゲームではない、と言ったと思う。
でも、強くもなく活気もない都市では、そうした競争に耐えられない。
だから、ゲームのルールが必要なんだ。」

amazonの場合、米国内の話だったが、スティグリッツ教授は同様のことが国際間でも起こっているといいたいのだ。
教授は、税優遇合戦をしても、それぞれの立地に勝利はないと指摘する。
結局は優遇を受ける企業が得をするだけだという。
スティグリッツ教授は、競争のあり方を正したいと考えている。

「税優遇競争は、企業誘致の手段にはならない。
企業を誘致する方法には、よいインフラ、誠実な政府、高い教育水準など、国家として取り組めることが多くある。
しかし、税金は、重要なことのリストのはるか下の方にある。」

スティグリッツ教授は、税優遇が企業誘致の手段にならないという。
しかし、企業の側はそうとは思わないだろう。
企業の1つの重要な責任が利益追求である以上、彼らはどこまでもそれを追求するはずだ。
だからこそ、スティグリッツ教授の提案には意味がある。

だから、こうした後ろ向きの競争をせず、良い雰囲気を生むことで競争すると国家間で合意すれば大きく変わる。
だからこそ、国際的な最低税率の合意が重要なんだ。

各界のリーダーの中にはとかく税率を下げれば競争力が上がると言う人がいるが、それは凡人が考える底辺への競争にすぎない。
リーダーが本当に求めるべきは、他国に税率を上げろと主張することだろう。
しかし、現実にこういう声は、対タックス・ヘイブンを除いて、あまり聞かれない。
税率が低いことで得をする人たちの意向も働いているのかもしれない。

国内に目を向ければ、過剰な誘致・特区・ふるさと納税にも問題がありうる。
とりわけふるさと納税は、寄付の精神からは程遠い、大半がモノ目当ての《寄付》になっており、底辺への競争の典型とすべきような制度だ。
被災地への支援など、本当の寄付が行われているもの以外、合理性を見出しがたい。

スティグリッツ教授の主張は、公平性を重視するところが大きいが、税の課題とはそれだけではない。
国家と民間の間の富の線引きの問題でもある。
過去数十年、国民が豊かになった一方で国家が借金を増やしたとすれば、今後は富や所得が均衡するような線引きにすべきとの考えもありうる。
減税合戦は、そうした必要性の真逆となるものだ。


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