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Bitcoin 暗号資産:ネットワークの価値の議論のされ方
2021年7月27日

ゴールドマン・サックスのザック・パンドル氏らが、ネットワークの価値という観点から暗号資産の価値について研究をしている。


(暗号資産の価格は)背景にある流通ネットワークの価値に関係しているのかもしれない。
FacebookのようなSNS企業の株価バリュエーションがその固有のネットワークの価値に関係しているのと同様にだ。

パンドル氏らの検証をMarket Insiderが紹介している。

ネットワークの価値といえば、たとえば通信ネットワークにおけるメトカーフの法則が有名だ。
この法則の場合、ネットワークの価値はコンピュータ・デバイス(後にユーザー)の数の二乗に比例すると主張している。

パンドル氏らは、浮動株ならぬ浮動コインの時価総額とブロックチェーン・アドレスの数の間にメトカーフの法則が見られるかを検証したという。
結果はそう驚くことでもあるまいが、「明確な相関が見られる」というものだ。

投機やバブルの歴史では、こうした結果が誤った用いられ方をすることが多い。
ネットワークの価値とは、ドットコム・バブルにおいて盛んに用いられたレトリックだ。
PER、EBITDA倍率はおろかPSRさえまともに計算できないような企業に、何とかして莫大な株価を付けようとして用いられた。
《このネット接続業者には加入者がN人いるから、Nの2乗(これに定数を掛ける)の価値がある》といった具合だった。
これは、バブルを煽った投資銀行業界の落ち度でもあった。

ところが、こうした考えは、企業経営の側に甚大な悪影響をフィードバックすることとなった。
企業が足下または将来の利益を度外視し、無茶苦茶な販促コストを垂れ流し、Nを稼ごうとしたのだ。
多くが持続不可能な行動だ。
企業経営者にとって、自社の収入の源泉が変化した瞬間だった。
企業の収入が、財・サービスの販売によるものでなく、新株・オプションの発行によるものに変化したのだ。
こうした悪弊は、近年のユニコーン企業の一部にも存在するかもしれない。

パンドル氏らは、さすがに結果を正しく受け止めている。
相関を安易に因果関係と見ていない。
Nが大きくなったから時価総額が大きくなったとは限らず、逆に、投機が増えたからNが大きくなった可能性を指摘している。
つまり、現状のNは暗号資産の「ファンダメンタルズ」を示しているわけではないということだ。

暗号資産のネットワークが持続的な価値を持つためには、投機的でない利用例により取引行動が増える必要がある。
それは時間とともに増えるかもしれないが、現時点では現実世界での暗号資産の利用は限定的なままだ。


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