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暗号資産はダメ、金に投資を:マーク・モビアス
2021年9月9日

マーク・モビアス氏が、暗号資産に明確なダメ出しを繰り返し、あらためて金をポートフォリオに組み込むよう奨めている。


私の友達にもビットコイン好きが多いけど、私はそうじゃない。

モビアス氏がBloombergで、ビットコインを有望と考えない理由を説明している。
単純明快に、必要性に乏しいからだという。
他に便利な決済手段のある社会では暗号資産など必要としないと話している。
エルサルバドルのように藁をもすがりたい状態の国ならニーズがあるかもしれないが、そうした特別の状況にある国は多くはないという。
概して必要とされないものには投資しないということのようだ。

(暗号資産は)私には意味がない。
便利でもなく、リスクが高い等々だ。

暗号資産を見直す可能性があるとすれば、米政府が納税手段として受け入れる、つまり米国の法定通貨になるのが条件だという。
ただし、近い将来そうしたことが起こる可能性は考えられないとした。
確かにこの条件は恐ろしくハードルが高い。

モビアス氏の暗号資産への評価は相当に低い。
(理由は、同氏が投機の手段を必要としていないためのようだ。)
同氏はケニアでの投資先を例に、世界には銀行を必要とせず資金決済を提供するサービスが少なからず存在する点を挙げている。
金融包摂につながる利便性の高いサービスが他に存在する以上、決済手段としての暗号資産へのニーズは高まらないと説いた。

モビアス氏は先月、ポートフォリオに現物の金を10%程度組み込むよう奨めている。
その後の経過について同氏はこう答えている。

私は金を10%に維持している。
上がれば少し売り、下がれば少し買っている。

配分を10%と決め、《安く買って高く売る》ことでその配分を守っているのだ。
モビアス氏が金投資、とりわけ現物を重視するのは、将来、金が貨幣、「交換の手段」として用いられると考えるからだという。
少々SF的展開まで可能性を見ているようだ。
それを促したのは、ほとんどの国や暗号資産が貨幣量を増やしているためだ。
米ドルをはじめとする法定通貨は増発され、暗号資産は乱立する。
貨幣数量説的な考え方から、これが貨幣の価値を貶めると予想しているのだ。

「米ドルのマネーサプライはわずか1年の間に30%超も増えた。」

米国のM2 前年比
米国のM2 前年比

米国のM2はパンデミック対応の財政・金融政策で大きく増えた。
現在徐々に落ち着きつつあるが、それでもまだ高い水準だ。

注意すべきなのは、米国のQEが必ずしもマネーサプライを拡大させなかったことだ。
量的緩和は見せ金の性格が強く、実際に市中(民間)にお金が回るには、増やした貨幣の所有権を財政政策で民間に移す必要がある。
あるいは、市中銀行が信用創造を増やす必要がある。

さて、日本はどうか。

日本のM2 前年同月比
日本のM2 前年同月比

米国ほどではないが、やはり増えている。
バブル期のM2の伸びは極めて大きく、その後水面下まで急低下している。
消費者物価はどうあれ、M2の伸びと資産価格の上昇とはかなり関係がありそうだ。


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