暗号資産の利益は紙の上の利益にすぎない:ピーター・シフ

Euro Pacific Capitalのピーター・シフ氏が、あいかわらず暗号資産を痛めつけている。
やや厳しすぎるとは言え、なかなかよくポイントを押さえているので見ておこう。


「最近、金とビットコインの両方の価格が上昇し、多くの人が同じ理由から上昇したと誤解している。
しかし、株と債券の価格も両方上昇している。
ビットコインと株は投機的資産として上昇し、金と債券は安全資産として上昇したものだ。」

シフ氏が24日ツイートした。
ゴールド・バグとして有名なシフ氏は、デジタル・ゴールドを自称したがる暗号資産と金が同じ分類に入れられるのが不愉快なのだ。
むしろ、リスク度合いから、真逆のポジショニングにあると説明している。

FRBがハト派的スタンスを鮮明にするにつれ、米市場は金融相場に振れている。
金利低下とは経済の鈍化を示すものなのかもしれないのに、割引率の低下が資産価格の上昇をもたらしたのだ。
こうした金融相場になると、金利低下とともにほぼすべての資産価格が上昇する。

シフ氏は金価格の上昇を解説する。

みんなもっと前に気づくべきだった現実に気づき始めたんだ。
FRBは二度と金利を正常化できず、バランスシートを縮小できない。
実際、FRBは再び利下げをしようとしている。・・・
またゼロ金利になり、QEに戻るだろう。

シフ氏は、FRBの非伝統的金融政策回帰へのヘッジとして金が買われたものと主張する。
同氏が匂わすように物価上昇が起こるのかどうかはわからないが、そのリスクの確率が上昇するのはそのとおりなのだろう。
一方、ゼロ金利になれば、利息を生まないという金の欠点は比較上問題にならなくなる。

あいかわらず暗号資産に対してはシフ氏は冷静だ。

「みんな暗号資産でギャンブルしているんだ。
カジノでギャンブルするのと同じだ。
だからと言って、ポートフォリオ・マネージャーに対して宝くじにも配分しろとかラス・ベガスに行けとか言わないはずだ。」

中には自国から(規制を逃れて)資金を動かしたいというニーズもあるのだろうが、たとえば日本について言えば、この認識は正しいだろう。
すっかりボラティリティのなくなった市場に嫌気をさした人々が暗号資産に向かっている可能性は高い。


暗号資産がギャンブルであるとは、ある意味本質を突いた発言だ。
シフ氏は宝くじやカジノをなくすべきと主張しているのではない。
同様にギャンブルとしての暗号資産ならそれはそれでいい。
リスクを理解した人が程度をわきまえて楽しめばいい。
問題は、それが通貨、金、投資対象を主張することだろう。
そう主張するには、多くの金融商品がそうである通り、裏付けや規律が必要だ。

「私は概して金融機関が(暗号資産に参入するほど)愚かだとは考えていない。
・・・
中央銀行は愚かかもしれないが、ビットコインなど暗号資産を準備金に繰り入れるほど愚かではない。
中央銀行は金を買っており、今後も金を買い続けるだろう。」

シフ氏は、暗号資産で得られた利益が「紙の上の利益」である点を不安視する。
過去、急激に上昇してきた中で圧倒的に買い手が多かった。
真の利益が得られるのは、保有する暗号資産を何か他の価値のあるものに変えた時だが、売り圧力がかかった時本当に売却できるのか。

「みんなビットコインで今は大儲けしたと思っているだろうが、売るまでは何もできない。
暗号資産からは配当も家賃も金利も得られない。
誰かビットコインを買ってくれる人を探さない限り、儲けにはならない。」

FacebookやJP Morganが独自の暗号資産の発行を計画している点については、既存の暗号資産にとって不利な展開と話している。
これら暗号資産が投機に支えられた既存の暗号資産をある程度駆逐すると予想されるからだ。

これが、ビットコインにお墨付きを与えたとBuzz(口コミ)やFOMO(乗り遅れる恐怖)を生み出すのに一役買っている。
そうではなくて、これはビットコインを否定するものだ。
これら企業がやろうとしているのは、現実に機能しうる暗号資産を生み出すこと、ビットコインの出まかせを実現することだ。

FacebookやJP Morganの発行する暗号資産が通貨としての機能を果たすなら、皮肉なことに既存の暗号資産とは棲み分けが起こるのだろう。
通貨なら前者、投機なら後者。
しかし、通貨というフレーバーを失った既存の暗号資産は、現在ほど人々を吸引できるだろうか。


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