暗号資産が上昇した本当のワケ:ヌリエル・ルービニ

ゾンビのように襲いかかる暗号資産信者たちと果てしない闘いを続けるヌリエル・ルービニ ニューヨーク大学教授が、台湾で開催された暗号資産のシンポジウムで基調講演を行った。
反対勢力を演者として招いた主催者も立派だが、招かれても微塵の配慮も示さない教授も立派だ。


「昨年末までは暗号資産のアポカリプスあるいは冬だった。
・・・
何が今年の上昇の理由なのか。
ファンダメンタルズの変化によるものではない。
何も起こっていない。」

ルービニ教授がアジア・ブロックチェーン・サミットでの基調講演で暗号資産の急騰の原因について話し始めた。
世間で言われている根拠に欠ける説明を排除した後、何事もないかのように斬って斬って斬りまくっている。

まず、これらのほとんどが完全なフェイクというものだ。
最近の研究によれば、ビットコインや他の暗号資産の取引記録の95%が完全なフェイク、完全な捏造だと示唆されている。
2つ目は、学術研究によると、ビットコインだけでなく他のすべての暗号資産において極めて大規模な価格操作が行われていると示唆されている。

つまり、ルービニ教授は、暗号資産の市場と呼ばれているもののほとんどが見せかけにすぎないと言っているのだ。
教授のスタンスは極めて厳しい。
世の中にはまっとうに運営しようという事業者も皆無ではないだろうに、全面否定に近い言いようだ。
ルービニ教授の肩書を信じて、価格操作に関するくだりをもう少し紹介しよう。

「ビットコインだけで約5,000種に及ぶ風説の流布のスキームがある。
見せ玉、仮装売買、交換所によるフロント・ラン。
中でも重要なのは、疑似安定コインだ。
これは何の裏付けも持たないため、安定コインではない。
テザーは、完全な不換コインとして発行され、40億(ドル)が不換コインとして発行された。
4月以降、もう10億(ドル)が不換コインとして発行された。
最近の学術研究によれば、2017年のビットコインの上昇の80%は、純粋にテザーを用いた価格操作によるものだったと示唆されている。」


ルービニ教授の問題意識の1つは、暗号資産に関してあまりにも悪質性の高い行動が頻繁に行われている点にある。
金融危機のエキスパートである教授は、危機の前に頻発する金融詐欺の類いにも精通している。
従来の金融界のプレーヤーたちにも詐欺などの犯罪に手を染める人たちは少なくない。
しかし、暗号資産については、その程度がまるで違うのだ。

金融の歴史において見たことのないような大規模な価格操作が行われている。
・・・
この暗号資産やブロックチェーンの世界に存在する犯罪の量は、規制された金融システムの10-100倍も悪い。

コインを発行する人、売買を取り次ぐ人、コインを使う人、いろいろなところで不正が起こっているとルービニ教授は指摘する。
詐欺師、ペテン師、密売人、客引き、インサイダー、・・・
実に様々な不正の温床となっているという。

そうだとしても、ルービニ教授の姿勢はあまりにも厳しすぎるようにも見える。
もちろん不正は正さなければならないが、法に触れない範囲でギャンブルを楽しむなら許容されてもいいのではないか。
しかし、それも現時点では絵にかいた餅と言うべきかもしれない。

そして、この国・米国・日本・そして全世界で最悪なのは、当局が完全に居眠りをしていて、何もしていないことだ。

日本では暗号資産の交換業者についての規制が機能し始めた。
しかし、道のりが明るいとは言えまい。
金融庁が報告・検査だけで暗号資産業者の不正・不備を洗い出すのは不可能に近い。
これは通常の金融検査についてもいえること。
金融機関や業者の側が金融庁をだまそうとすれば、検査官がそれをすべて見抜くのは至難の業だ。
(取引の相手方で何かおかしなことがあると、ようやく発覚するのが常。)
金融機関において比較的に不正や嘘が少ないのは、ひとえに長年かけて飼いならしてきたことに尽きる。

仮に業者を飼いならしたとしても、それで終わる話ではない。
業者以外で起こる不正(犯罪から始まり脱税も含め)をどう防ぐのか。
本当に通貨となりたいなら、少なくとも他の金融資産と同様のレベルまで不正を防止することが要求されるのだろう。
さもなくば、いつか地下銀行と同様、国家によって駆逐されることになるのではないか。


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