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暗号資産がデジタルゴールドになるための条件:ブリッジウォーター

ブリッジウォーター・アソシエイツのレベッカ・パターソン氏にBloobergがぶつけた質問がかなり面白い。
いうまでもなく、ブリッジウォーターはレイ・ダリオ氏率いるヘッジファンドであり、パターソン氏は、レイ・ダリオ氏が限定的にせよ暗号資産に前向きな評価を与える材料となった研究の主要人物だ。


暗号資産 対 金について若い世代のバイアスがあると考えられているようだが、私は世代よりリテイル 対 機関の差の方が大きいと思う。
現在ビットコインほかの暗号資産に流入しているお金は主にリテイル(投資家)のものだ。

パターソン氏がBloombergで、暗号資産をとりまく温度差について、現実の一端を説明している。

暗号資産が軟調となり、今週急落を演じてから、金融メディアがじゅくじゅくと暗号資産をディスり続けている。
そのために機関投資家を引っ張り出し、目新しさのない正論を語らせるのだ。
機関投資家の方は別にディスるつもりはない。
投機やギャンブルの対象と正しく認識する限り、特段叩く必要もないからだ。
しかし、メディアはそうはいかない。
1つには、当たり前のことを知りたがる視聴者も多いのだろう。

大手機関(投資家)のお金が考えているのは、市場にストレスのかかる期間のドローダウンからポートフォリオを守るために資産を分散する1つの手段だ。
まだ、そうなっていない。

パターソン氏は、機関投資家がまだ暗号資産に本格的に参入していない様子を語った。
いまだ投機の対象の域を出ず、個人の資産管理会社などを除けば、大手の機関投資家が分散の手段として本格採用しているわけではないという。
近年さかんに強気の理由として挙げられてきた機関投資家の参入だが、現実はほど遠いようだ。

不思議なことだが、この番組では、回答より質問の方が面白い場面が複数見受けられた。
1つ目は、どうやったら暗号資産が大手機関投資家からも認知を得られるようになるかという質問だ。
Bloombergキャスターはわざわざこう尋ねている。

多くの金融市場やマクロ経済に明るくない人から尋ねられるんだ。
『なんで状況は悪化しているのに、円のパフォーマンスはいいのか?』
いくつも説明のやり方があるが、1つの言い方はこうだ。
『ただ、うまくいっている。
これまで歴史的にうまくいってきた。』
もう少し説得力を増す条件が何かある?

あわれ、我らが円は、暗号資産のお手本にされるようになったのか?
いや、あわれ、暗号資産は、円をお手本にしろと言われるようになったのか?

パターソン氏は微笑みを浮かべつつ、円には何も触れず、理に適った回答をしている。
まず、規制の整備が必要で、結果、規制を嫌がり去る人も出るだろうという。
代わりに参入する人も出てきて、結果、ボラティリティが下がる可能性もある。
環境面を含め、人々からの認識が変化する可能性があるという。

これらのことが起こるなら、暗号資産はある種のデジタル・ゴールドに進化しうる。

なんとも皮肉なことだ。
今、暗号資産を盛り上げている人たちのほとんどは、それが投機的だから、値動きが大きいから、ボラティリティが大きいから、そこに集まっている。
しかし、仮に大手機関投資家からも認知を受けるには、そういう人たちの退出が必要になるのではないか。
これは同じ暗号資産を議論していることになるのだろうか。

次の興味深い質問は、マイニングにともなう電力消費の問題だ。
Bloombergキャスターはこう紹介した。

最近の研究によれば、ビットコインはスイスよりも多くのエネルギーを消費している。

なかなか胸に刺さる推計だ。
これに対してパターソン氏は2つの可能性を呈示した。
1つ目は、マイニングに再生可能エネルギーを用いるという考え方。
しかし、これは厳密な解決策ではないだろう。
マイニングをしなければ、その再生可能エネルギーは他の消費に回せるのかもしれない。

もう1つの選択肢は、ビットコイン以外の暗号資産に期待する考えだ。

もう1つの選択肢は、他の暗号資産で、エネルギー消費が少なく、供給に制限があるなど良い特徴を備えるものだ。
そういうものがビットコインにとって代わるかもしれない。
ビットコインは主たる暗号資産だが、それは、いつまでもそうであることを意味しない。

なんとも皮肉なのは、いずれの解決策も今日の暗号資産市場そのものを解決する策になっていない点だ。
広くデジタル通貨の将来を明るく見る人は多いはずだが、そこで選択される投資家・デジタル通貨は現在の暗号資産とはかなり異なるものになるのかもしれない。
こんな話はとうの昔から言われてきたことだ。
しかし、この数日で、その実現が近づいたと感じる人が増えたのではないか。


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