景気後退は早くて2021年:バイロン・ウィーン

今一番当てているブラックストーンのバイロン・ウィーン氏とジョー・ザイドル氏が定例のウェブキャストを行った。
従前のスタンスを継続し、年内はもう大きくは上昇しないものの、下落や景気後退もないと予想した。


ウィーン氏らのぶれない姿勢がこのところ際立った結果を出している。
景気後退や弱気相場に怯える他社を尻目に、程よい強気スタンスが的中している。
11日のウェブキャストのテーマは、メルト・アップもメルト・ダウンも起こらないというものだ。

ザイドル氏は、景気後退を予想する上で重要な6つの指標を挙げ、前2回の景気後退前にすべてが当てはまったと説明した。
では、現在はどうなのか。

指標 状況
主要 平均時給増加率4%
先行経済指標
10年-2年スプレッド逆転
2次的 市場心理(熱狂)
失業率
企業収益
(出典: ブラックストーンのプレゼンテーション)

つまり、まだ6項目のうち2項目しか景気後退を示していないというのだ。
ウィーン氏はこう語っている。

「私は景気サイクルについて過剰がどこに存在するかという基準から見ている。
現在、大きな過剰は見られない。」

さらに、米政府・FRBに残された手段を見ても、すぐに景気後退が来るとは考えにくいという。

おそらくもっと重要なのは、もしも景気後退入りしてしまえば、そこから抜け出す手段がないことだ。
米国はすでに強力な金融緩和を経験し、そこに逆戻りはしたくないだろう。
・・・
財政支出がもう1つの方法だが、財政赤字はすでに年1兆ドル超だ。
政策決定者は、可能な限り景気後退を先延ばししようとするはずだ。


景気後退が来ると困るから景気後退が来ないというロジックには気持ち悪さもあるが、政策決定者の思いは確かにその通りだろう。

ウィーン氏は、景気後退入りの時期は早くて選挙後の2021年と予想している。
また、自身の「ラジカル・ポートフォリオ」について4月から据え置いた。

ウィーン氏は、FRB利上げに対する市場の見方が楽観的すぎるという。
経済は良好で、大きな利下げをすべき状況ではないからだ。
ウィーン氏はFRBが25 bp利下げをし、しばらく様子を見ることになると予想する。

ウィーン氏はインフレについては低いままで推移すると予想し、若干ザイドル氏との温度差を示した。
供給過剰が存在し、労働力にも余裕があるとの見方だ。
さらに興味深いのは、低インフレの結果として長期的に低金利も継続すると予想している点だ。

2008年からその後10年の間に各国中央銀行はバランスシートを3兆ドルから16兆ドルに拡大した。
この追加的なマネーが行き場を探しており、これが低金利がみんなを驚かせた原因だ。
市場にとって好ましい背景となる要因の1つは、長い期間にわたって予想以上に低インフレ・低金利が続いたことにある。

ウィーン氏の解説はいつもオーソドックスで退屈だ。
しかし、同氏の予想が当たる背景には、奇をてらわずオーソドックスな指標を定点観測し続けてきたところにあるのだ。

なお、ビデオの26分のところで、例によってウィーン氏は自身の配当割引モデルの早見表を示している。
この表は単純なものであり、配当割引モデルとは必ずしも当たらないものなのだが、ウィーン氏のものは不思議と当たる。
この魔法の早見表は一見の価値がある。


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