早川英男氏:やり過ぎと怠慢

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元日銀理事の早川英男氏が、日銀のやり過ぎと政府の怠慢について心配している。
その両方が、次の景気後退期に打つ手を奪ってしまうからだ。


異次元緩和は本来、財政健全化と構造改革の推進を政府の責任としてうたった13年1月の『政府・日銀共同声明』に基づくものだったことを強く訴える必要がある。

早川氏は週刊エコノミストで、日銀が物価至上主義に陥り金融緩和に突き進んでいる現状について警鐘を鳴らしている。
古巣の日銀について、昨年9月の「総括的な検証」での説明(物価が上がらないのは原油や世界経済のためとする説明)が「完全に崩壊している」として再度の検証を求めた。
政府については、2%物価目標を定めた「政府・日本銀行の共同声明」における政府の役割を喚起した。

「政府は、我が国経済の再生のため・・・日本経済の競争力と成長力の強化に向けた取組を具体化し、これを強力に推進する。
また、政府は、日本銀行との連携強化にあたり、財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する。」


前段もそうだが、特に後段への取り組みが不足している。
財政規律の緩みについて早川氏はこう書いている。

「安倍政権は日銀の金融緩和継続を当てにして消費増税を2度までも先送りしたほか、社会保障改革に真剣に取り組む姿勢も見られない。」

見事に都合の悪いことを先延ばししたわけだ。
日銀のやり過ぎ、政府の怠慢は何をもたらすのか。
2%物価目標達成は影も形も見えない中、日本の景気拡大は6月で55か月に達した。
こうした景気拡大がいつまでも続くものでないのは明らかだ。
景気後退期に政府・日銀はどういう刺激策を打てるのか。

「バランスシートを目いっぱい膨らませた日銀に追加的にできることが少ないのはあきらかだろう。
・・・
財政面でも、財政健全化を先送りしているため、財政出動余地はほとんどない(リーマン・ショック後に大規模な景気対策を実行できたのは、小泉政権下で財政再建がかなり進んだ結果であることを忘れてはならない)。」

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