日本銀行
 

日銀:意図せざるヘリコプター・マネー

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イールド・カーブ・コントロールを巡る4つの論点

とにかく、日本は長期金利をコントロールしようという道を選択した。
(浜町SCIも昨年8月の時点でそう提起していた。)
その手段は資産買入れなのだが、明確に目標とする金利水準を持つという意味で量的緩和より進化形と言える。
この手法について雨宮氏は4つの論点を挙げている:


可否
一応は可能と考えている。

是非
危機時・非常時に採用するという考えはありうる。

いかなるイールド・カーブを目標とするか
「総括的な検証」では均衡イールドカーブの考えが示されていたが、なお研究中。
保険・年金など社会インフラに大きな影響を与えるデリケートな問題。

財政ファイナンスの疑念
雨宮氏は再度、イールド・カーブ・コントロールの目的が財政ではなく物価であると強調。
疑念・批判には丁寧な情報発信を行うと説明している。


意図しないヘリコプター・マネー

こうした日銀の説明は、日銀の別の解説によって説得力を失ってしまう。
雨宮氏は物価目的を強調する直前にこうも述べている。

「欧米の学者の中には、中央銀行はバランスシートの拡大により新しい金融政策手段を獲得したので、無理に元に戻す、つまり正常化する必要はないと主張する向きも現れています。
いずれ、中央銀行はかつてのような伝統的金融政策の世界に戻るのか、あるいはこの間の金融政策運営から得られた知見を踏まえて、新たな世界に移行するのかどうか、今後の検討に委ねられている大事な検討課題です。」

日銀のバランスシートを拡大させたままにするというのが検討の俎上に上がりうるのか。
そう感じれば、やはり長期金利ターゲットは(バーナンキ氏が書いたように)ヘリコプター・マネーに似てくる。
仮に日銀が無垢だったとしても、結果的にヘリコプター・マネーと等価になるなら、日銀の意思を議論する意味はどこにあるのか。
事後の法廷論争で問題になる程度の話で、日本経済の帰趨にとって大した意味はないのかもしれない。
こう考えると、日本はやはりマイナス金利を先に試すべきだったのではないかと思われてくるのである。

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