日本銀行
 

日銀:意図せざるヘリコプター・マネー

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財政従属じゃない

政府の低金利調達を維持しなければならない、いわゆる財政従属に陥った中央銀行は、金融制約に大きな制約を受ける。
インフレが起こっても利上げができず、それがさらなるインフレを招いてしまう。
だからこそ雨宮氏は、日銀の目的は物価であって財政支援ではないと強調したのだ。


この主張は正しいのだろうが、事実上の金融抑圧がこれだけ長く続いてしまうと《目的は物価》というのも疑わしく感じられてくる。
実は、物価と財政の二正面作戦だったのではないかとの疑念がもたげてくる。
主税局出身の方がボスをやっているだけに、そうした疑念が頭を離れない。
こうした疑いを晴らすには、長期金利の上昇を許容するのが一番なのだが、一方で自然利子率との兼ね合いもある。
本当に自然利子率が世間で言われるように低いなら、長期金利を上昇させる余地はほとんどないことになる。

長期金利は操作できる

雨宮氏の講演はこの後、長期金利コントロールの終焉、マネタリー・ターゲティング、短期金利コントロール、非伝統的金融政策の歴史を回顧する。
極めて短く語られた変遷は、この講演の圧巻の一つだ。
これを骨子として膨らませれば、さぞ興味深い本が書けることだろう。


雨宮氏は講演の中で1961年に開始されたオペレーション・ツイストを紹介し、その終わりを解説している。
オペレーション・ツイストが有効と主張していたモジリアニだが、1966年発表の実証研究では、同オペの効果が統計的に認められなかったと結論した。
雨宮氏は「『中央銀行は短期金利の操作はできるが、長期金利の操作はできない』という見方は、この論争以降定着していったように見受けられ」ると話している。

その後、FRBは2011年にもオペレーション・ツイストを行っている。
これはサンフランシスコ連銀のスワンソンがモジリアニらの実証研究を否定する分析結果を報告したことが大きい。
1961年と比べれば2011年の方が金融市場のインテグリティは高まっていると思われる。
それなのに、市場がより分断されていたであろう1960年代のオペレーション・ツイストは否定され、よりイールド・カーブが密接に関連しているであろう2011年に復活したのである。
そしてそれは、日銀の長期金利ターゲットをさぞかし勇気づけたであろう。

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