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為替介入に学ぶ日銀にできる日本株活性化案:佐々木融氏

JP Morganの佐々木融氏が、円売り為替介入で見られたある「現象」から、日本株市場のある活性化策を提案している。


大量の円売り介入が行われている期間のドル円相場の動き方には、ある程度共通した特徴がある。
端的に言えば、円売り介入が行われている間は円高トレンドが終わらないという共通点だ。

佐々木氏がReutersへの寄稿で、2011年を最後に行われていない為替介入における不思議な経験則を紹介している。
直観とは真逆のように思われるが、

ほぼ共通して円売り介入が行われている間は円高トレンドが続くか、またはドル円相場のレンジが極端に狭い状態が続き、円高阻止を諦めるような形で円売り介入を止めると、しばらくして円安方向に反転を始める

のだという。

すぐに読者は疑うだろう。
因果関係が存在しない、あるいは、逆転しているのではないか。
つまり、介入が終わったから円安になったのではなく、円高が収まりそうだから介入が終わったのではないか。
あるいは、他の何らかの要因が同時に円高や介入終了につながったのではないか。

こうした側面が皆無とは言えないだろうが、佐々木氏の2つの仮説を読む限り、他にも重要な要因がありそうに感じられてくる。
(ここの説明部分はトレーダーにはとても興味深い描写になっており、興味のある人は原典の読解を試みるとよい。
主張の確信部分なので、読者自身の判断が要る。)
あえて表面的に括るなら、

  • トレンドに反する介入に挑むのはトレンドに沿うことになるので挑みやすい。
  • 円売りドル買い介入は円買いドル売りの需要を誘い出し、介入が終わると円買いドル売りが残ってしまう。

実際に1995年の超円高時に日銀で為替介入を担当されていた佐々木氏の主張だけに、緩い経験則としての説得力は大きいように感じられる。

佐々木氏はこの経験則を、現在も介入を受け続けているある別の市場にも当てはまるのではないかと提起している。
その市場では、いまだ介入を終了したことがない。
日本株の市場だ。
日銀がリスクプレミアムを縮小するためとしてETF買いを始めてから10年近く経つ。
それでもさえない日本株の状況を、佐々木氏は、円売りドル買い介入を受けていた為替相場と重ね合わせたのだ。

「特に購入額が3倍増になってからは、むしろ欧米株にアンダーパフォムしているようにも見える。・・・
また、日銀がETF購入を開始した後、あるいは購入額を増額した後でも、それによって日本株のP/E(株価収益率)が押し上げられた(リスクプレミアムが押し下げられた)こん跡は見られない。」

おそらく日銀の政策の中で最も不人気な政策の1つであるETF買い。
これには実に様々な観点から効果を疑う声が上がっている。
佐々木氏の今回の類推も、その1つに並ぶものだ。
もちろんETF買いをやめれば、その刹那日本株が下落する可能性は高かろう。
しかし、長い目で見て継続すべきか否かについては、少なくとも民間ではそこそこのコンセンサスがあるのではないか。
(少なくとも、この分野の多くのプロたちが将来を心配している。)

リスク・プレミアムはともかく、日本株市場の活性策としては、佐々木氏の類推から当然の仮説が思い浮かぶはずだ。

政府・日銀が買っている間は上がらないという為替市場の経験則は、株式市場にも当てはまるのかもしれない。
そうだとすると、日本の株価は日銀がETFを通じた購入を止めれば、これまでの日銀の購入を反映して、欧米諸国の株価をアウトパフォームして上昇を始めるのかもしれない。


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