日系保険業界とドル金利、ドル円

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日本の保険各社の運用計画について日米で見方が割れている。
日本勢はヘッジ付きに注目し、米国勢はヘッジなしに注目しているのが興味深い。


日本勢からは日本生命系列のニッセイ基礎研究所による為替ヘッジ付き米国債の話。
為替ヘッジ付き米国債の利回りは2013年頃からヘッジ・コストの上昇とともに低下してきた。
一端はマイナス圏にまで低下したが、3月末には0.91%まで回復したのだという。
2017年に入り規制導入・金融引き締め予想の後退により米ドル需給が緩和し、ヘッジ・コストが大きく低下したためだ。

「米国ではFRBの金融政策により引き締め方向にあり、日本では日本銀行の異次元金融緩和により緩和方向にあると想定しがちだが、実際の短期金融市場では逆の現象が起きているというのが、ここ数カ月間の特徴的な動きである。」

ニッセイ基礎研による0.91%の読み方はこうだ。

「日本10年国債の利回りが、イールドカーブ・コントロール(YCC)によって0%近辺を推移している状況と比較すると、国内債券投資の代替手段として、ヘッジ付き米国債の利回りは魅力的な水準にある。
・・・
2017年に入ってから、ヘッジ付き米国債の投資妙味が増しているということである。
・・・
利回り確保の手段を模索する必要のある国内投資家にとって、ヘッジ付き米国債は検討に値する金融商品と言えるだろう。」


もっともな見方ではあるものの、投資期間が10年であることを考えれば、なんとも厳しい環境であることが伺われる。
0.91%が高いのではなく、YCCの0%がばかげているのだ。
保険料値上げに踏み切るのも理解できる。
保険業界の身内から発信された見方として、業界の実態を如実に伝えるものなのだろう。

一方、同じ運用計画を見てバンカメはどう考えたのか(Value Walk報)。

「米国では利上げが継続されると予想され、ドル円のヘッジ・コストは大きく下がるとは予想されない。
公表された計画のとおり、多くの会社が昨年ほど外債のヘッジに積極的にはならないだろう。」

バンカメはヘッジなし外債投資の割合が増えると読んでいるのだ。
ニッセイ基礎研の見方と相反するわけではないが、海外勢からすれば0.91%は物足りなく見えるのかもしれない。
バンカメの見方は、米債券市場の実感なのだろう。
バンカメはヘッジなしの増加が米債券市場に2つの影響を及ぼすと予想する。

  • ヘッジ・コストがなくなる分、(為替ヘッジなしベースの)高い利回りが得られるため、BBB格・BB格や長めの債券を物色する必要がなくなる。
    結果、低格付け債や長めの債券の需要が減り、利回りが上昇する要因になりうる。
  • 日本の保険会社による米債券投資が安定的なものから俊敏さを必要とされるものになる。
    金利差やヘッジ・コストいかんでヘッジをつけるか否かが変わり、金利差・ドル円レートによってヘッジなし投資の売買タイミングが決まる。

バンカメは、FRB利上げが続くならドル円が上昇し、日本勢によるヘッジなし米債券投資が蒸発しかねないという。
これは、米国債利回りのさらなる上昇要因となるのであろう。

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