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日本株を買うかも?:ジム・ロジャーズ

ジム・ロジャーズ氏が、一度すべて売却した日本株を再検討すると報じられた。


2020年、私も決意したことがある。
それは、すべて売ってしまった日本株を買い戻す検討に入ったこと。

ロジャーズ氏が週刊朝日のインタビューで、日本株への関心について語った。
検討するのは「成長が期待できるセクター」だとし、農業関連、観光、ヘルスケアなどの分野を挙げた。

ロジャーズ氏は以前に日本株に投資した時のことを回想する。

「私が以前、日本株を買い始めたのは11年の東日本大震災の直前だった。
その後、震災に伴う経済の混乱で株価が下落したが、日本は震災から必ず復興できると信じ、さらに日本株を買い増した。」

ロジャーズ氏らしく、震災によって日本株がオーバーシュートしたと見て、逆張り投資を実行したわけだ。
第2次安倍政権が発足し異次元緩和が始まると、ロジャーズ氏の日本株への食欲はますます高まった
主にリバウンドを狙ってエントリーしたところ、世界一規模の大きな量的緩和までついてきたのだから、投資は大成功だったはずだ。

しかし、日本株への投資はあくまで短期から中期で考えていた。
少子化と国の借金が増え続ける中で、このままの政策を続ける限り、日本は長期的には衰退することが避けられないと考えているからだ。

ロジャーズ氏のこのスタンスは長い間変わっていない。
日本に対する考えだけでなく、現在ロジャーズ氏が主張することのほとんどは2013年出版の『冒険投資家ジム・ロジャーズのストリート・スマート』に書かれたことと大きく変わっていない。
(実は、それ以前の著書からも大きくは変わっていない。)
それは、ロジャーズ氏の信念を示すものとして評価すべきことだろう。

ロジャーズ氏は、一貫して日本経済の構造問題を指摘し続けてきた。
多くはほとんどの人が昔から気づいていることではあるが、ロジャーズ氏の主張は正論であり、選択肢を示しているのは間違いない。
だから、日本株に長期投資するわけはない。
ロジャーズ氏が日本株に向けるのは、多くの外国人投資家と同様、チャンスに応じたつまみ食いの目線だ。

ロジャーズ氏は2017年初めには、日本株の売り時を模索し始める。
しかし、同年11月には、日本の金融緩和が依然強力であることを理由に、強気の見方も示している。
結局、2018年終わりには日本株を売却したことを明かしている。
当時は世界的に市場心理が悪化した局面だったから、利益を確定したかったのだろう。

2019年ロジャーズ氏は日本で2冊の本を出版した。
内容は『ストリート・スマート』の一部を焼き直したようなもので、やはり日本の構造問題等を指摘している。
意図したかどうかはわからないが、2018年に日本株を売却しておいたのは、これらの本の出版には都合がよかったかもしれない。

「誤解のないように強調しておくが、私が日本株を買い戻す理由は、日本が抱える問題が良い方向に向かっていると考えているからでは決してない。
日本が衰退に向かっているという見方には何ら変わりがない。」

ロジャーズ氏は、異次元緩和が円安誘導に成功したと見る一方「世界経済の歴史を振り返ってみても、通貨の切り下げ策によって、中長期的な経済成長を成し遂げた国は見当たらない」と指摘した。
正確な命題かどうかは別として、一般論としてバランスのとれたまっとうな指摘であろう。
金融緩和や通貨安が構造問題解決のための時間稼ぎであるというのは広く世の中のコンセンサスだろうからだ。

ロジャーズ氏は、今回も仮に実行したとしても短期的な日本株買いになると宣言している。

短期的にみれば、だぶついたお金が日米の株式市場に流れる可能性は高く、トランプ大統領が再選を目指して、金融緩和と景気刺激策を講じる限り、米国株高に連動し、日本株も上昇基調を維持するだろう。
もちろん、今回も、日本株を長期的に保有するつもりはない。

米市場の《最後のひと上げ》、日本株見直しというのは、昨年第4四半期から海外市場で高まりつつあった小ブームだ。
ロジャーズ氏も、それに乗っかるかどうか考えているということだろう。
もっとも、FP読者ならお気づきだろうが、少々出遅れた感もなくはない。

ロジャーズ氏は最後に「絶対やってはいけない投資」について説明している。

ひと言で言うと、「負債を増やさないこと」だ。
今、日本はマイナス金利、アメリカも低金利だが、金利はいつか上がる。そのとき、多くの人たちの人生が壊れる。
日本でも、バブル経済が崩壊した後、借金を増やした人たちが破滅の道をたどったことを忘れてはならない。
今は世界中の国々で負債が膨らんでいて、爆発寸前なのだ。

この指摘は正しいものの、正確ではない。
増やしていけない負債は変動金利の負債だ。
金利がこれ以上下がらず、いつか上がると予想し、仮に超長期固定の調達が可能なら、それはむしろ推奨されることだ。
問題は、負債とともに両建てで計上される資産を何にするかだ。
金利上昇・バブル崩壊において暴落するものが論外であるのはいうまでもない。
もしも、底値が固くインフレに強い資産が見つかるなら、超長期固定の調達で投資することはむしろ理想的である。
それが、いつか来るかもしれない高金利・高インフレの時代というものだ。


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