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日本株は売却した:ジム・ロジャーズ

ジム・ロジャーズ氏が、いつものとおり予見可能なコメントを重ねている。
この人の予見可能性は(少々のリップ・サービスを除いて)投資推奨で受けを狙わない誠実さの証だ。


「インド株は史上最高値で、誰かがインドで素晴らしい仕事をしたんだろう。・・・
でも、過去数か月インド市場は素晴らしく、良すぎるから私は買っていない。
インドがまた安くなったら、買えるだけの頭を持っていたいね。」

ロジャーズ氏がインドETのインタビューで、いつものようにリップ・サービスをしている。
このくだりの読み方は、インドには興味がないという意味だろう。

ロジャーズ氏はジェントルマンかつエンターテイナーであり、ショーのホストが望むことをちゃんと話してあげる。
ホストがその国を褒めてほしければ褒めるし、けなしてほしければけなす。
今回は前者だ。
でも、投資対象としてはあまり興味はないのだろう。
インド株が上昇する前でも、同市場に対してロジャーズ氏が強い食欲を示したことはほとんどない。
BRICSで言うなら、ロシアや中国に対しての方が過去はるかに強い興味を示してきた。

他の新興国への興味を尋ねられると、ロジャーズ氏はフロンティア市場としてのウズベキスタンに触れたものの、魅力を感じる国は多くないと話している。
理由の1つは明らかだ。

大きく上昇した市場が多い。
日本株は数十年(の低迷)の後上昇したので、最近売却した。
コモディティのいくつかを除けば、まだ安い市場はそう多くない。

端的にいえば、資産価格の上昇にともなって割安な市場がどんどん減っているのだ。
これは多くの個人投資家が共有する悩みだろう。
価格が上昇し、目標価格に達したから売りたいが、売っても他に買いたいものがない。
現預金で持っていれば、インフレや通貨安があるかもしれない。

キャッシュ(現預金・短期債)で持っているのかと尋ねられると、ロジャーズ氏は率直に窮状を明かしている。

「米ドルをたくさん持っているが、それも心配の種だ。
・・・
米ドルに匹敵するような通貨があったら、放送しないで・・・内密にEメールしてほしい。」

ロジャーズ氏はかなり以前、経済・市場が順調だった頃に危機の到来を予想し、米ドルのポジションを積み上げていた。
そのポジションは奇しくもコロナと戦争によって実を結んだが、問題はエグジットにあるようだ。
投資価値を拡大・維持することはできたが、売っても移れる先が多くない。

ロジャーズ氏の見立てでは、米国の状況は良くなっているというより悪くなっているという。

  • 銀行システム: 
    「米銀行システムには破綻、あるいは少なくとも問題がまだ起こるだろう。
    他の(国の)銀行もだ。・・・
    今後2-3年でそれが起こるのではととても心配している。」
  • インフレ:
    「金利はしばらく落ち着く、または堅調だろうが、来年・再来年にインフレ上昇が続けば、各国中央銀行は心配を深め、(インフレが)済むまではるかに高い金利になるだろう。」

「銀行システム」を広義にとらえるなら、ここに懸念を抱く人は少なくないだろう。
しかし、インフレについては沈静化しつつある、少なくともボルカー・ショックのような程度には至らないというのがコンセンサスだろう。
ところが、ロジャーズ氏は状況が収束に向かっていないと考えている。

実効FF金利(青)と米10年債利回り(赤)
実効FF金利(青)と米10年債利回り(赤)

「言い間違いじゃないよ。20%超だ。」

ロジャーズ氏は、1980年代初めのインフレ退治で必要とされたFF金利の水準に言及した。
同氏は、当時より米国の他の状況が悪くなっていると言いたいようだ。

次も荒療治になる。
1980年、米国はまだ債権国だったが、今は市場最大の債務国だ。
だから、事態が悪くなる相違点が多く存在する。


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