投資

日本はGo for Gold! :イェスパー・コール
2021年10月1日

ウィズダム・ツリーのイェスパー・コール氏が、いつものようにもっともなものから無理筋なものまで《日本愛》を語っている。


日本は『金メダル』獲得のために全力を尽くしているところだ。
財政政策による公共需要、企業設備投資・消費支出など手堅い民間需要の両方に恵まれている。

コール氏がBloombergで、オリンピック後の日本経済について強気の見方を語った。
同氏はいつも日本に対して好意的だから珍しいことではないが、今回特徴的な点を1つ挙げている。

「日本で新しいのは、今回違うのは、日本企業が日本国内の事業に再投資していることだ。・・・
企業が生産的資本と人的資本の両方に投資し、生産性や購買力が向上し、利益が上がり始めている。」

コール氏の観察は現時点ではまだ希望的観測の段階であるようにも思われるが、世界的な供給制約などの問題が内需にプラスに働く面もあるのかもしれない。

コール氏は、日本がデフレ的な環境から脱出できていない点について尋ねられると、質問自体への疑問を投げかける話をしている。

日本は良いデフレだ。
企業収益が上昇する中で物価が低下している。
これは間違いなく日本企業が競争力を向上させているためだ。

コール氏は以前から、日本で起こったデフレやディスインフレを悪いことだとは思っていない。
したがって、金融政策で無理にインフレにすべきとも言ってこなかった。
もっとも、これほど長く強力な金融政策を継続してもインフレにならないなら、(現状維持に何かの意義があったとしても)無理に2%物価目標を目指す必要はないというのが世間のコンセンサスだろう。

コール氏は、物価が上がらず企業が儲かる現状を「ウィン=ウィン」と指摘し、日銀も満足しているはずだと話した。
ただし、同氏にも気がかりな点はある。
アベノミクスについて議論したがるキャスターに対し、物価の議論の本質を説き聞かせている。

物価の推移を議論したいなら、主たる課題は賃金だ。・・・
前回はベアが期待外れの2%に終わったが、次回は少なくとも3.0-3.5%を期待したい。
そうなればMr.&Mrs.ワタナベが自信をつけ、購買力を全開にするだろう。

物価が上がっても、賃金がそれよりも上がるなら、文句は出ない。
しかし、アベノミクスでは実質賃金が上昇したとはいえない。
つまり、リフレ政策による物価上昇は賃金の購買力を減じる副作用を及ぼした。
逆に、ディスインフレ/デフレの時代の方が、実質賃金は高まる傾向にあった。

コール氏の春闘への期待はみんなが共有するところだろうが、これが実現すると考える人は現時点では少ないだろう。
新たな政権ができるタイミングであり、この実現をお祈りしよう。


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