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新興国市場投資のチャンス:マーク・モビアス
2019年11月21日

新興国市場投資の大ベテラン マーク・モビアス氏が、金融緩和政策、金投資、新興国市場、米市場について広範に語っている。


「FRBを含む世界中の中央銀行は間違っている。
2%インフレ達成に集中している事実は、私には暖簾に腕押しのように見える。」

モビアス氏がBloombergで、各国中央銀行の金融政策について正面から批判した。
同氏の論拠は、2%物価目標の実現可能性だ。
物価が極めて上昇しにくい環境において2%を目標とすることが極端な金融緩和環境を生んでいる。
しかも、物価が上昇しにくいのには(需給ギャップのような悪いことではない)理由がある。

コンピュータ化、インターネットなどによるこれほど急速な生産性上昇によって物価が下がっている。
だから、幸福な2%のインフレを実現するのはとても難しい。

モビアス氏はここで2%物価目標を単なる2%ではなく「幸福な2%」といっている。
インフレには(他の多くのことと同じく)良い面と悪い面がある。
何が何でも2%ならOKというわけではないだろう。
モビアス氏は、現状の2%弱が《不幸な2%弱》のように見えているのだろう。

マネーを経済に注入しても、望ましい効果は得られないし、ある意味危険でさえある。
現在、私たちは、株式や他の資産の価値を評価するのが極めて難しい状況に置かれているからだ。
マネーがタダなら、どうやって(価値を)計ればいいんだ。

価値評価の基本式といえば、まずDCF法が挙げられよう。
将来のキャッシュフローを資本コストで割り引くことで価値を求めようという考えだ。
資本コストとはリスクフリー金利とリスク・プレミアムから構成される。
しかし、日欧においてはリスクフリー金利はゼロ未満、多くの中央銀行はリスク・プレミアムを抑え込もうとしてきた。
つまり、現在の《資本コスト》見せかけのものにすぎない。
金融緩和なかりせばの資本コストに戻れば、資産価格に何が起こるかは明らかだ。

モビアス氏はYahoo Financeでは、より投資に近いテーマを話している。
1つは金への強気スタンスを継続したことだ。

単純に金利が低く、世界的にマネー・サプライが劇的に拡大しているためだ。
今では暗号資産もあって、何がマネー・サプライかわからない状態だ。
だから、もう少し何か手堅いものに退避する必要がある。
それが金だ。

金の投資対象としての弱点は金利も配当も生まない点だ。
しかし、マネーに金利がつかないとしたら、その弱点は大きく縮小する。
金も従来のマネーも価値の源泉を見出しにくくなる。
だから、金が相対的に有利になる。
たとえ、それが目くそ鼻くその比較であっても、人々は相対的にそう考えるのだろう。

モビアス氏が奨めるのは単なる金投資ではない。
少々終末論の香りがしてくるが、現物の金を自ら保有することが重要だという。

「歴史を振り返ると、政府とは、政府が把握できる上場商品や倉庫にある金を接収する傾向がある。
米投資家だけでなく世界の投資家に向かって話している。
インドや中国では伝統的に現物の金を保有する人が多い。
過去に政府が人々の保有する金を接収したことがあるからだ。」

ホーム・グラウンドの新興国市場については、指数の改善が顕著であると指摘し、最終的には米市場と肩をならべると強気だ。

みんな米国以外に分散した方がいいと思い始め、米国をあきらめるというのではなく、いくらかのお金を他に振り分けるだろう。
新興国市場経済は先進国より倍の経済成長率を続けるだろう。
だから、今は新興国市場に入るいいタイミングだと思う。

モビアス氏は、貿易摩擦や香港デモなど問題を抱える中国でさえ、経済・市場は堅調だろうと言い添えている。

為替については、近年のドル高・新興国通貨安の傾向に変化がみられると指摘する。

「多くの新興国がドル指数をアウトパフォームし始めた。
来年は、新興国通貨の中にいい時期を迎えるものが出るだろう。
これは大きなドル安が起こるという意味ではないが、新興国通貨の一部の上昇にドルがついていけないだろうということだ。」

モビアス氏は、来年前半のダウ平均30,000も「かなりありそうなこと」と見る。
条件を付けながらも、米経済・市場に強気の見方を示した。

途轍もない米経済とその良好さを見ると、それは、株式市場で起きたことの反映であるのが明らかだ。
興味深いことに、株式市場が告げているのは、経済が引き続き良好であり続けるということだ。
・・・
政権での重大事を避け、トランプが大統領職を維持すれば、株式市場も経済も好調を続けるだろう。

金融緩和の効果に疑問を呈するモビアス氏も、その資産効果は認めている。
多くの国で、金融緩和の目的が信用創造ではなくなっているのを象徴するような話ではないか。


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