新興国市場投資の大ベテラン マーク・モビアス氏が、新興国市場について強気スタンスを維持し、よく語られる不安要素を払しょくしている。
新興国市場は(年内)先進国市場をアウトパフォームするだろう。
モビアス氏がBloombergで、いつものように強気の見方を続けている。
同氏はアウトパフォームを予想する理由を3つ挙げた。
- 先進国市場よりかなり大きく下落した。
- 各国の株式市場間の相関が高まり、米市場が回復すると新興国市場はさらに大きく反応する傾向。
- まだ新興国市場の方が高成長。
もちろん(最も有望なのは)アジアだ。
コロナ・ショックによる閉鎖や多くの問題にも関わらず、アジアでは高成長が見られている。
危機前からそうで、危機後も続くと思う。
モビアス氏は、地域で見るとアジアが最も有望と話した。
中国、ベトナム、インドですばらしい回復が見込めるほか、韓国にも注目しているという。
モビアス氏は、新興国市場に関しよく言われる不安材料についても深刻なものとは受け止めていない。
- 通貨下落: 米金融緩和によりむしろドル安・新興国通貨高になる可能性があり、これは新興国市場に恩恵をもたらす。
- インフレ: マネーサプライ急増によるインフレ圧力はあるが、テクノロジーによるデフレ圧力で打ち消される。
「世界全体で言えば概してデフレ的だ。」
モビアス氏が概して楽観的・強気なのには理由がある。
同氏の投資アプローチがトップダウンではなくボトムアップであるためだ。
つまり、地域や産業での配分を決めてから何に投資するのかを決めるのではなく、何に投資をするかを優先している。
だから、有望な市場・そうでない市場があっても、必ずしも配分を変えるわけではない。
(有望な市場にはすでに大きく配分してある。)
以前からモビアス氏は銘柄入れ替えに努めていると話している。
明らかに、強いバランスシートを持つ企業であることが必須だ。
個別銘柄の選定にあたって大前提になる点をモビアス氏は述べている。
結果、金融機関は概して避けることになるという。
今後、やや遅れて不良債権が増えることが予想されるからだ。
逆に、全体としては厳しい市場でも、投資機会は多く存在するとも述べている。
例えばアフリカ市場だ。
多くの企業がこうした状況でも生き残り、繁栄していけるだろう。
私たちはアフリカから撤退していないし、多くのアフリカ諸国が今後とても良い成長を遂げると予想している。