新たな債券王は王国を持つ投資家でなければいけない:ビル・グロス

債券王ビル・グロス氏の引退日のインタビュー第2弾。
債券王が退位した後、新たな債券王は誰かとの問いに答えている。

「同じようなタイプの『王』は現れないだろう。
王であるためには王国を持っていなければいけない。」


グロス氏がBloombergで、新たな債券王の要件を語った。
米メディアではすでに数年前からダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏を債券王と呼んでいる。
同氏の市場予測が群を抜いて的確だからだ。
グロス氏がそのガンドラック氏を挙げなかった理由は、1つにはダブルラインがPIMCOのような「王国」とまでは言えないと考えるためだろう。

グロス氏は冷静に債券ファンド業界を観察している。
この業界に「王」と呼ぶにふさわしい投資家が現れることが物理的に難しくなっているという。
ファンドのサイズで言えば、パッシブ・ファンドがアクティブ・ファンドを圧倒しがちだ。
だからと言って、市場に投資決定を委ねるパッシブ・ファンドの運用者を「王」と呼ぶのはおかしいという。

王こそ見当たらないが、グロス氏も認める投資家は存在する。


債券市場のエクスパートとして、スコット・マイナードが特に好きだ。
20年前のちゃんとした環境なら、債券王になっていただろう。
彼はすばらしい長期的視点を持っている。
しかし、彼が市場を獲ったとは思わないし、彼も王になりたくないだろう。

グロス氏はストーリーを語る投資家だった。
同氏のストーリーは同時にポジション・トークであり、そのストーリーに賛同する投資家は行動を共にした。
グロス氏のストーリーは自己実現的に的中したのである。

フィナンシャル・ポインターでもしばしば発言を紹介するグッゲンハイムのスコット・マイナード氏もまたストーリーを語るタイプの投資家だ。
メリハリの効いたストーリーを語り、そこから導出される市場予想は極端なものになることもしばしばだ。
グロス氏がガンドラック氏に触れずマイナード氏を挙げたのはこうした背景があるのだろう。

数学を専攻したガンドラック氏のアプローチは徹底的なデータ重視だ。
そこに理論的ロジックがあろうがなかろうが、とにかく現実のデータ間の関係性を探索する。
結果、極めて有用な関係性を見いだし予想を的中させるものの、その関係性にロジックがないままのこともままある。
的確な予想をすることが目的であり、ストーリーにはこだわらない。
AI時代の不可思議な市場にも恐れはない。

グロス氏からすれば、債券王は空位のままらしい。
と同時に、長い王位を人間らしく回想している。

誰がふさわしいかと言えば私だろう。
でも、振り返って見て(この称号は)かなり重荷だった。
王冠は重かったんだ。


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