海外経済 投資

ジム・オニール 数か月すれば市場で明らかになる:ジム・オニール
2019年12月2日

元Goldman Sachs Asset Management会長ジム・オニール氏が、好調に見える米経済・市場の危うさについて警告している。


「それは今年何度も起こったことだ。」

Bloombergからトランプ大統領が仕掛ける貿易戦争の1つの解釈についてコメントを求められ、オニール氏は否定しなかった。
その解釈とは、大統領が中国に強気に出る本当の目的がFRBを金融緩和に追い込むことにあるというものだ。
なぜ、トランプ大統領は脈絡もなく中国への態度を硬軟変化させるのか。
1つのイベントで何度も支持者・市場にアピールしたいとか、景気への好影響が及ぶ時期を調節したいとか、推測はいくつもある。

オニール氏は、関税を道具に経済を操作するやり方が米経済をいびつなものにしていると警告する。

大統領は、それが利下げのもつ即効性の影響を超えて、素人の戦略であることに気づきつつある。
弱い輸出や企業投資支出を保証することで、今までになく消費への依存を高めてしまった。
これは通なやり方ではない。
過去数か月まで、それが大統領の目的の1つという兆候があった。

とはいえ、足元を見る限り、特に最近の米経済のデータは良好だ。
オニール氏も、低所得層での賃金上昇加速の兆しなどを挙げ、米経済の堅調さを認めている。
消費への偏重はあるものの「少なくとも今はグラスが半分は満たされている」という。

一方で、オニール氏は、長期的には米経済に極めて大きな不確実性が存在すると述べている。
構造問題への対処は中央銀行の仕事ではないとし、いくら中央銀行にプレッシャーをかけても事態は改善しないためだ。

「米経済が2021年または来年の景気後退入りを回避できると確信しているかといえばNoだ。
消費に何か悪いことが起これば、貿易摩擦には未解決の点があり、米国はすぐさま問題を抱えるだろう。」

オニール氏は、数か月のうちにこのリスクが市場から明らかになる可能性を口にした。
強い経済データを背景にFRBが当然のことを示唆する可能性だ。

1日現在のCME FedWatch Toolによれば、市場が織り込む来年2020年6月10日におけるFF金利誘導目標は

  • 100-125bp: 5.7%
  • 125-150bp: 30.4%
  • 150-175bp(現行):60.7%
  • 175-200bp: 2.7%

市場はFRBのさらなる利下げ可能性を否定できずにいる。
もしも経済が悪化せず、FRBが当然のことをすれば、この利下げ期待は裏切られることになる。

数か月すれば市場で明らかになろうが、FRBが決断し市場に対し
『私たちは目的もなく金融緩和は行わない。』
とメッセージを出せば、市場は債券利回りを反転上昇させ、住宅ローン借り換えは困難になり・・・
今はグラスが半分満たされているが、構造面で半分満たされているとは思わない。

いったんスティープ化するかに見えたイールド・カーブが再びフラットになりつつあるのも、隠れたリスクへの警報だとオニール氏は話す。
同氏は現在の市場心理を解説する。

「株価は史上最高値だが、みんな神経質だ。
その理由はよく理解できる。」


-海外経済, 投資
-,

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 その他利用規約をご覧ください。