海外経済

政府に対して想定すべきこと:レイ・ダリオ
2020年4月28日

ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏が執筆中の新著『変わりゆく世界秩序』(仮訳)の中から「第2章:お金、信用、債務」をプレビューしよう。


ダリオ氏によれば新著は秋に発売予定だという。
これまでの著作(『Principles』、『Big Debt Crises』、「30分で判る 経済の仕組み」)で書ききれていなかった、経済・市場と政治・社会との関係性について焦点を当てたいようだ。

今回取り上げるのは、そのうちの金融経済にかかわる部分。
中でもおなじみの「長期債務サイクル」のくだりを紹介したい。
ダリオ氏は、長期債務サイクルの局面を6つに分け、そのサイクルが繰り返すと分析する。

  1. 債務がないか少なく「ハード・マネー」による社会。
    金貨・銀貨・銅貨などによる経済。
  2. 「ハード・マネー」請求権、つまり兌換貨幣などの誕生。
  3. 債務増大: 請求権による信用創造が始まる
  4. 債務危機、デフォルト、価値低下。
  5. 不換貨幣。
  6. 「ハード・マネー」への回帰。

ダリオ氏は壮大な歴史書を書こうとしているようだ。
もっとも、私たちの人生はほとんど第5局面に収まっている。
しかも、第5局面の最終局面にあるのだろう。
だからこそ、ダリオ氏は最近「現金はゴミ」と話し、ポートフォリオに一部《金, gold》を組み込めと言っているのだ。

歴史が示すのは、政府が私たちを財務的に守ってくれると望めないことだ。
逆に、政府はお金と信用の生み手としての特権的地位を乱用するものと想定しなければいけない。
あなたが彼らだったら乱用するだろう理由と同じ理由でだ。

ダリオ氏の書きぶりには達観まで見える。
望ましくないことが起こると予想するものの、それは防げない。
人間のサガがそうさせるのであって、一部の人の良心で食い止めることはできない。

ある1人の政策立案者が局面のすべてを仕切るわけではない。
次々と別のものが別の時に現れ、時々の状況に応じて、その時の彼らの利益になることを行うのだ。

結局のところ、政治家が交代しても、彼らに都合の良い政策とは概して拡張的な金融・財政政策になる。
そのため、それを正当化するあらゆるレトリックが動員され、政策が実行されていく。
だから、債務サイクルはいくらか姿を変えながらも繰り返す。
市民にできることといえば、被害を少しでも小さくするために、権力者が愚行を確実に繰り返すのを確認しつつ、先回りして利殖に励んだり、節税したりするぐらいしかないのだろう。


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