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押し目で買い急いではいけない:モハメド・エラリアン
2020年3月8日

アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、新型コロナウィルスに対する慎重なスタンスを続けている。


今回は違う。

かつてPIMCOを率いたエラリアン氏がMSNBCで、コロナウィルスによる経済・市場へのショックについて解説した。
言うまでもなく「今回は違う」とは投資の世界で最も危険とされる言葉だ。
エラリアン氏がその言葉を使って、今回のウィルスによる混乱の特異性を説明している。

「これが経済に対する極めてまれなショックであることを理解すべきだ。
需要と供給を破壊する。」

エラリアン氏は大打撃を受けている航空産業を例に解説した。
フライトに乗る予定だった乗客でも、自分が病気になったかもしれないと思えばフライトをキャンセルしてしまう。
需要の破壊だ。
一方、航空会社もフライトの安全が保てないと思えば、フライトをキャンセルしてしまう。
供給の破壊だ。
厄介なのは両側が強めあう傾向があること。
顧客がフライトをキャンセルすれば、航空会社は減便を考える。
航空会社が減便すれば、乗ろうと思っていた乗客までフライトをやめてしまうかもしれない。

今回の経済・市場の混乱は金融市場由来でもないし、人の意思によってもたらされたものでもない。
エラリアン氏は、今回の混乱に対し「伝統的な物差し」は役に立たないと指摘する。

確かに利下げはしたが、考えてみてほしい。
ローン金利が安くなったからといって、飛行機に乗るものか?
伝統的な政策手段に効果はない。
だから、このウィルスには異なる対処をしなければならないんだ。

金融市場由来のリスクなら、金融政策や金融機関救済が正しい選択肢だろう。
国家間の諍いが原因なら、争いをやめればいい。
しかし、ウィルス相手ではこういう解決はない。
考えてみれば、当たり前の話だ。
何かあると、すぐ決められる中央銀行に何かやれ、となるのは今日日の政府・国民の悪い癖。
病気のリスクは医学的治療・封じ込めでしか直せない。
経済政策で対応可能なのは、むしろそのための財政支出だろうし、各国もいつになくスピーディにそれに取り組んでいる。
ただし、お金をつけたから病気がすぐになくなるわけでもない。

エラリアン氏は過去数年は押し目買いが成功するショックに恵まれてきたと指摘する。
何も考えず押し目で買えば、儲かるようなショックばかりだった。
「一過性」つまり「一時的で、封じ込め可能で、すぐに逆転可能」なショックばかりだった。
しかし、「今回は違う」という。

ウィルスの封じ込めが難しく、経済的効果をすぐに逆転するのが難しい。
・・・この押し目で買い急ぐべきでない。

エラリアン氏は、長期投資ならば儲けることができるだろうという。
しかし、実現の条件はパニックにならないことだという。

エラリアン氏の心配は市場だけではない。
世界経済の景気後退入りの心配も強めている。

ドイツ、イタリア、日本、シンガポールのような国は確実に景気後退に入るだろう。
今では米国についても心配が増えている。
医学的にウィルスを封じ込め、耐性を強めない限り、恐怖は募り、経済活動が行われなくなってしまう。


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