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押しは終わった、金利上昇は限定的:ジェレミー・シーゲル

ウォートンの魔術師ジェレミー・シーゲル教授が、米市場の脅威と考えられている長期金利上昇について、上げ余地が限定的になると予想する理由を解説した。


押しは終わった。・・・
私の考えは、今年もっとインフレになり、インフレ的な世界では株式・実物資産に投資すべきというものだ。

シーゲル教授がウォートン・ビジネス・ラジオで9日、強気スタンスを継続した。
同日発表の生産者物価指数は市場予想を大きく上回り、消費者物価への波及も予想される。
経済が回復し、インフレ的になる中、インフレに強いとされる資産クラスへ軸足を移すべきというのが教授の一貫した考えだ。

まず、昨年のFRB・政府により実施され、バイデン政権により倍増された刺激策は、今年経済を極度に強い状態に押し上げる。
経済再開により労働力不足となり、賃金が上がり、史上最大の1つに数えられるだろう好況を享受することになる。
FRBが引き締めを余儀なくされるまで、株式には有利だ。

米経済・市場の強さは解説の必要もないほどだ。
問題はそれがいつまで続くかだが、シーゲル教授は、そのカギとなるFRB利上げまで相当に時間がかかると見ている。
同日出演のCNBCでも、現在が9回のうちの3回にすぎないと話している。
(ただし、過去1年で3回になったなら、あと2年で9回になるという解釈もある。)

シーゲル教授は、米経済の再始動が順調に進んでいると見ている。
変異主、ミシガン州の状況など不安材料もあり、引き続き警戒が必要としながらも、ワクチンにより夏あたりには経済が完全に再開すると予想している。
当局が許可するかは不明だが、ワクチン接種の証明書の利用が広まれば、それを加速する可能性があるという。

インフレや経済成長で金利上昇が確実視されつつあるのに、このところ米長期金利は落ち着いた動きをしている。
これについて、シーゲル教授は、超長期サイクルが人々に植え付けた固定観念について説明した。

他のすべての資産クラスがアウトパフォームしているのに、米国債にはまだヘッジとしての需要が莫大に存在する。
みんな米国債に執着がある。
これは第2次大戦後にも起こったことで、高インフレ・高債務が経済のすべてのものを押し上げたにも関わらず、長期債に固執した。
1960年代になるまで亡霊が消えてなくなることはなかった。

シーゲル教授は昨年、40年に及ぶ米債券の超長期(利回り低下)サイクルが終わったとの見立てを述べた。
今までのところ、それが当たっているように見える。
しかし、たとえ金利低下が終わったとしても、人々の行動がすぐに変わるとは限らない。
投資家は、国債をリターンだけのために買っているわけではない。

シーゲル教授は、国債に短期的なヘッジ、マイナスのベータの資産としての需要が存在すると指摘する。
また、社会が高齢化するにつれ、リスク回避傾向が強まるとも指摘する。
こうした需要があるから、国債保有のコスト(高インフレ・低金利、価格下落リスク)が上昇しようと、持ち続ける人がいる。
金利上昇が限定的なら、これがリスク資産を下支えする。

問題は、いつ投資家が『もう要らない、こんなに要らない、保有コストがかかりすぎる』と言い出すかだ。
でも、繰り返すが、40年続いた(債券の)強気相場が一晩で変わることはない。
まだ米10年債利回りが年末までの2%を超えるには、莫大な需要がありすぎる。


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