投資検討可能なましな国々:ピーター・シフ

ユーロパシフィック・キャピタルのピーター・シフ氏が、インターネット・メディアへの出演で余すことなく自社の宣伝をしている。
立て板に水の宣伝文句の合間から、一考の価値がある部分を紹介しよう。


あまり大金を持っていない平均的な人たちにやれる一番簡単なことは、goldmoney.comのウェブサイトで口座を作ることだ。

シフ氏がTomWoodsTVで語った。
Goldmoneyとは貴金属販売を営むカナダ、トロントの上場企業。
シフ氏は2016年、経営していた金販売会社をGoldmoneyに売却しているから、要は宣伝協力ということだろう。
同氏はこの頃、コネチカットから所得税のかからないプエルトリコへの移転を進めていた。
金持ちのリバタリアンは妥協なくタックス・ヘイブンを求めて行動したのだ。

このポッドキャストではシフ氏の個人的生活についていくつか触れられている。
数年前までシフ氏はユーロパシフィックのCEOだったのだが、すでにユーロパシフィックも売却済みなのだという。
プエルトリコへの移転にともない規制上のハードルが高かったらしい。
ユーロパシフィックは売却先の一部門となっており、シフ氏のステータスはユーロパシフィックの従業員だ。
(ちなみに、旧ユーロパシフィックの社員のほとんどは、シフ氏とともにプエルトリコに移転したそうだ。)
シフ氏はユーロパシフィックの従業員という肩書を持ちつつ、ユーロパシフィック・アセット・マネジメントの運用者を務めている。

さて、手前みそで推薦した貴金属販売会社だが、シフ氏は1つ重要な要件に触れている。
この会社が現物の金を安価な手数料で投資家ごとに分別して保管するという点だ。
(もしも興味を持たれ検討される場合、自ら真偽をお確かめください。)
つまり、シフ氏は金を推奨するだけでなく、現物でないといけないと言っているのである。
ただし、自身が運用するミューチュアル・ファンドの自動積立は推奨している。
また、シフ氏は宝飾品と金を比べ、宝飾品は無駄なコスト・業者に抜かれるさやが大きく非効率と退けている。

シフ氏は、一般の米市民の苦しさを代弁する。

「引退年齢に近づいたアメリカ人の多くが、不吉な兆候を感じ始めた。
引退するのは彼らではなく通貨であって、彼らは決して引退できないのではないか。
実際、米国における引退とは、家計における稼ぎ手が1人だけの状態と同じく消えつつある。」


ただでさえ格差拡大によって苦しくなった層にも、シフ氏が警告し続けているドル崩壊が待っている。
この二重苦に陥りたくなければ賢く蓄えるしかないとシフ氏は恐怖を与える。

「貯蓄を持たず、ドルはクラッシュし、割高な株にやられ、みんな基本的に死ぬまで働くことになる。
もしも引退したいなら、十分なインカムをもたらす資産ポートフォリオを確保しなければいけない。・・・
もしそうしたいなら、あなたのお金を米資産、米ドル、割高な米国株・米債券から引き上げないといけない。」

畳みかけるように将来への不安を植え付けるシフ氏。
これは同氏の商売であると同時に信念でもある。

では、シフ氏の管理するポートフォリオではどのような投資を行っているのか。
(金のほか)主に外国の株式・債券に投資しているという。
米国だけでなく世界中でインフレが到来すると予想しているため、株式に重点をおいている。
貯蓄・投資・貿易収支・財政収支・経済自由度指数などの基準を挙げ、米国より状態のましな国を選び「優良なクォリティ株」に投資していると話している。

米国はすべてある程度メチャメチャで、トリアージのような状況だ。
でも、シンガポール、香港、スウェーデン、ノルウェー、スイス、オーストラリアなど、それほどメチャメチャでない国もある。

シフ氏は、米国の凋落がすぐそこまで近づいていると言ってきた。
そうなれば、米資産もドルも下落すると言ってきた。
次の景気後退期にそれが起こってもおかしくないと考えている。

一方、世間のコンセンサスは、米国のある程度の凋落を認める場合でも、それほど差し迫ったものではないだろう。
次の景気後退期はやはりドルが買われると考えている人が多いのではないか。
(ただし、それ以上に円やユーロが買われる可能性も高い。)
だから、ドルは今でも人気の通貨だ。

このミスマッチが、シフ氏の推奨に面白みを与えている。

特に今はドルが割高になるとともに米国株が割高になっている。
もしもまだ米市場にお金を置いてあるなら、今こそ脱出させておくチャンスだ。


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