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ハワード・マークス 投資家はインフレ予想にどう対応すべきか:ハワード・マークス
2021年8月4日

オークツリー・キャピタルのハワード・マークス氏が目下の米市場最大の関心事インフレについて、投資にどう反映すべきか意見を述べている。

「このメモをいつも読んでいる読者なら、オークツリーと私がマクロ予想に対して大いに懐疑心を抱いているのを知っているだろう。」


マークス氏が29日付「メモ」で、書いている。
オークツリーはマクロ予想からのトップダウンの投資検討プロセスを用いない。
ミクロ分析からのアプローチに専念している。
理由は明らかで、マークス氏ら経営陣がマクロ予想を信じていないためだ。

このメモで、マークス氏はマクロ予想があてにならない理由をとうとうと書いている。
いつもの読者なら《もう知っているから結構》と言いたくなるほど丁寧に書いている。
なぜ紙面の多くを割いて何かをディスらなければならないのかは、ほどなく判明した。
今回のメモでマーク氏はマクロを論じたかったのだ。
今回のテーマはインフレというど真ん中のマクロ経済現象だ。

「意見を持つことはよいが、それが正しいと仮定するのと、それに大きく賭けるのとは別物だ。」

こう前置き・言い訳をして、マークス氏はインフレを論じ始めた。
同氏はインフレを『ミステリアス』と形容し、インフレ周りの予想にはあまり耳を貸さない方がよいという。
インフレの先行きとは不可知なものであり、あやふやな説を信じるより、無知の知に徹するべきと言いたいのだろう。

その一方で、そういうスタンスが投資家にとって心苦しい状況を生み出すことも知っている。
インフレやその金利へのインパクトは、ほとんどの資産クラスにとって「最も重要な切り札」であるからだ。
では、投資家は、インフレという強力な要因の先行きに関して何も行動できない、すべきでないのだろうか。
マークス氏の答は「予想はできなくても、準備はできる」というものだ。

以前の私なら、今日の高いバリュエーションとリスクの高い行動に着目して、バブルと後の調整を警告していただろう。
しかし、新たなレンズを通した結果、これらのことが存在するにもかかわらず、市場へのエクスポージャーを大きく減らすことにはほとんど意味がないと結論した。

なんとも世の中がバブルっぽくなってきた。
多くの投資家から尊敬を集めるマークス氏にしても、十八番の市場サイクルを放棄し《今回は違う》と言い出したように見える。
なんでマークス氏は、今回は違うと思ったのか。
理由を3つ挙げているが、意味がありそうなのは1つだけだ。

「投資の最も重要なルールとは、反対の証拠が完全に説得力がある場合を除いて、長期にコミットし、フル・インベストであり続けるべきというものだ。」

もちろん、これは機関投資家にとってのルールだろう。
分散ポートフォリオを運用する投資家の場合は、少し意訳が要る。
いつも取っているリスク量を減らすべきでない、という意味になろう。

マークス氏は、インフレ・リスクを恐れてリスクテイクを減らすべきでないと言っている。
一方で、インフレ・リスクに対する備えをある程度するのも「理に適っている」とし、具体的に3つのタイプの投資対象を挙げている。

  • 変動金利債
  • 固定費が大半、コスト増を転嫁できる、価格にインフレをビルトインできる事業
  • 物価上昇より速く成長できる事業

変動金利債は金利上昇をヘッジする手段であり、インフレ・ヘッジになるとは限らない点を認識すべきだ。
インフレと金利は完全に連動するわけではないので、どちらをヘッジしたいかを明確に意識する必要がある。
インフレ・ヘッジなら物価連動債がより直接的な方法になる。

2つ目の投資先は、資本集約的産業や価格決定力のある企業群が挙げられよう。
3つ目は優良グロース株がすぐに浮かぶ。

マークス氏は最後に、不確実なインフレに関しての自身の投資スタンスについて明かしている。

私は、投資家がインフレ昂進の可能性について同意するのは理に適っていると思う。
しかし、正しいかどうかわからないマクロ予想に対応して、資産配分を大きくひっくり返すのは理に適っていないだろう。


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