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ハワード・マークス 投資のために見るべきもの:ハワード・マークス
2019年3月24日

Oaktree Capitalのハワード・マークス氏のある講演会での発言の第2弾。
オークツリーにおける投資判断の材料について語られている。


「すばらしい質問だ。
それに対する最初の答えは『やられた』だ。」

マークス氏がある講演会で、鋭い質問に降参した。
その質問とは、同氏の市場サイクルを極めろという教えとマーケット・タイミングとは何が異なるのかという問いだった。
確かに足元が市場サイクルのどこにあたるのかを知ることは、その先に市場が上がるのか下がるのかを予想するのと同じことのように聞こえる。
マークス氏はこの質問の鋭さに敬意を払った上で、しかし、よどみなく答を語っている。

マークス氏によれば、オークツリーには6つの投資哲学があるのだという。
その1つが、マーケット・タイミングを行わないということだ。
ただし、マークス氏によるマーケット・タイミングの定義とは「市場の先行きに対する予想をもとにキャッシュを増減させること」なのだという。

私たちは通常キャッシュを増減させないし、絶対に市場の先行きを予想しない。
・・・先行きがどうなるかはわからないが、今がどこかはわかる。

ウォートンとシカゴ大学で学んだマークス氏は極めて現実的な投資家だ。
簡単に儲けられるようなミスプライシングが転がっているとは考えていないし、経済・市場の次の動きを予想できるとも考えていない。
もしも、それが可能と吹聴する者がいれば、それは無知な人間か、自分の無知に気づかない人間だと考えている。
マークス氏はエコノミストは雇わないし、話をしに来てもらうこともないと明かした。
エコノミストによるマクロ経済の予想には関心がないのだ。
では、マークス氏は何をもとに投資判断をしているのか。

私たちはサイクルのどこにいるかに基づいて判断を下している。
景気サイクル、経済のサイクル、リスクに対する市場の心理・態度のサイクル、資本市場サイクルと、私たちはたくさんのサイクルに基づいて判断している。

サイクルにおける現在の位置を見定めたとして、それがどのような判断になるのか。
マークス氏によれば、サイクルのどの点であっても次に何が起こるかは予想できないという。
サイクルのどの点であろうと、あるいは割高・割安であろうと、市場には上げも下げも横ばいもありうるという。

これは、3つ(上げ・下げ・横ばい)のすべてが同じ確率ということを意味するわけではない。
サイクルのどこなのかによってオッズ、または本で『傾向』と呼んでいるものが決まってくる。

つまり、サイクルの局面を知り、上げ下げの確率を知ろうということなのだろう。
それでも、マーケット・タイミングとの概念の重複は否めないので、マークス氏も素直に「やられた」と言ったのだ。
一方、マクロ経済予想を用いないという方針は、極めて明確な相違点と言えるだろう。
これは、マークス氏が経済統計の数字より市場を取り巻く人間の振る舞いにより重きを置いているということではないか。

参考(マークス氏の著書)
【書評】投資で一番大切な20の教え
【書評】市場サイクルを極める


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