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戦中戦後のYCC解除後に起こったこと:ジェフリー・ガンドラック

ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏は、FRBが一過性として重視しない米インフレについて、一過性でない可能性もあると話している。


「こんなに大量の貨幣増発が行われ、コモディティ価格が大きく上昇してきた中で、FRBはどうして(インフレが一過性だと)わかるんだ。・・・
すでに多くの投入物の価格でインフレが進行しつつある。」

ガンドラック氏がBNN Bloombergで、足元のインフレが一過性であるとのFRBの主張に疑問を呈した。
同氏もベース効果による上昇を問題視する必要はないと認めている。
しかし、それ以外にも多く、特に供給サイドにインフレ要因が存在するという。

「インフレが(いったん上がった後)2.5%、2.0%まで下がるのかどうか私にはわからない。
誰にもわからない。
一番心配なのは、FRBが自分たちにはわかると考えていることだ。」

FRBがわかるはずのないように思えることを断定して政策の前提としているように見える。
だからガンドラック氏の心配は募る。
特に、FRBは前回もやらかしている。
サブプライム/リーマン危機前、バーナンキFRB議長(当時)は状況を完全に読み違え、米国と世界を大混乱に引き入れた。
ガンドラック氏によれば、多くの指標が足下のインフレを一過性でないと示唆しているという。

米金利について尋ねられると、上昇するか、どこまで上昇するかはFRBの介入がどうなるかによると答えた。
パンデミック前も後も米政府の財政は悪化している。
もはや、米国債を喜んで買い増すのはFRBぐらいしかいなくなっている。

「誰がこの数兆ドルの米国債を買うのだろう?
外国人はこの数年売っているし、過去数四半期売りを加速してきた。
国内の買い手は売っていないが、保有を増やしてもいない。
だから、うじゃうじゃ出てくる供給を消化できるのはFRBだけなんだ。」

結局FRBが長期債を買って長期金利上昇を抑えれば、戦中戦後のFRBによるイールドカーブ・コントロールに似た構図になる。
その後何が起こったか、ガンドラック氏が説明している。

1950年代イールドカーブ・コントロールを止めた時、リンドン・ジョンソン大統領の軍事・経済両立の政策によって、27年に及ぶ債券の大弱気相場となった。
今の政策と似ているところがある。
1970年代から1980年代初めに至る展開が繰り返しているように思える。
莫大な財政赤字、FRBは当時インフレを歓迎すると言っていた。
結局ボルカー議長のFRBは真逆のことをやった。

高インフレは大きな社会問題になる。
最後には景気も雇用も放っておいてインフレ退治を優先させることになった。
ボルカー議長はFF金利を20%に引き上げるなど強烈な引き締めを行い、ようやくインフレの連鎖を断ち切ることができた。

米国株市場について質問されると、ガンドラック氏は、10年近くも続いた同市場の(外国市場に対する)アウトパフォームが止まったと足元の状況を説明した。
理由の1つにバリュエーションを挙げている。

米国株市場は、事実上すべての指標において外国株式市場に比べてとても割高だ。

ガンドラック氏は特にアジア株や欧州株に比べて米国株が割高だという。
このため、同氏は、前回がいつか記憶がないほど久しぶりに欧州株を買ったという。
理由はバリュエーションだけではなく、むしろ為替にあるようだ。

米ドルが中長期的にほぼ間違いなく下落すると考えるからだ。・・・
米ドルの価値ととても相関が高いのは、双子の赤字の方向だ。

財政出動は財政赤字の悪化だけを引き起こすわけではない。
ばら撒きを受け取った人が支出を増やせばどうなるか。
供給能力のあるところからの購入が増えることになる。
つまり、貿易赤字の拡大だ。

ガンドラック氏は、給付金の恩恵を一番受けるのは中国・東南アジア・主要貿易相手国だと指摘している。

米国株が相対的に割高であることは多くの人が知るところだ。
では、米国株が相対的に割高にならない資産クラスはあるだろうか。

ガンドラック氏は、現在の株式・債券市場の危うさを端的に指摘している。

興味深いことに、米国株市場が相対的に割高でない比較対象の1つは米債券市場だ。・・・
米国株がすべての指標において事実上記録的なバリュエーションにあるのに、株式の益回りを10年債のような債券の利回りと比較すると、平均より低い水準にある。・・・
DCFで使う金利、国債利回りが経済成長やインフレに比べあまりにも低いため、1つの比較において株式市場が全く高く見えなくなっている。


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