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アスワス・ダモダラン 成長上振れの金利上昇ならプラス要因:アスワス・ダモダラン
2021年3月29日

アスワス・ダモダラン教授のブログ続編: 金利上昇が株価に与える影響をミクロ的な視点を交え分析している。


すべての企業について、金利が上昇する時、将来の成長分の(現在)価値は既存資産の価値と比べて低下する。
しかし、この効果は成熟企業より若い企業ではるかに大きくなる。

ダモダラン教授が、金利と株価の理論式から、金利上昇の株価への影響を解説した。
極めて単純な仮定の下では、グロース株の方が金利上昇の悪影響を受けやすいとの含意だ。
最近の米市場でも囁かれている現象であり、もちろん、これは極めて単純な仮定の下での話にすぎない。
教授も、金利と株価の関係は「驚くほど複雑」と書いている。

ダモダラン教授のブログのすばらしい点の1つは、そうした複雑系の現象になんとか法則性をつけようという努力だ。

ダモダラン教授による金利上昇の価値への影響
(出典:アスワス・ダモダラン教授のブログより抄訳)
経済成長率上振れ インフレ上昇
リスクフリー金利 上昇 上昇
リスクプレミアム 不変または縮小 拡大
売上増 増加、特に景気敏感 増加
営業利益率 拡大 価格転嫁できる企業は不変、それ以外は悪化
投資効率 改善 実質ベースでは不変、名目ベースでは改善に見える
価値への効果 プラスになりやすい マイナスになりやすい

ミクロ的視点まで入れたフェアな分析だ。
結論も、経済成長による金利上昇はプラス、インフレによる金利上昇はマイナスになりやすいという常識的なものである。
これはコンセンサスどおりだし、全く正しい。

ただし、注意しておく視点もある。
ダモダラン教授の分析は株式にのみ焦点を当てた静的なモデルによる分析だ。
一方、マネーが存在するのは株式だけではない。
株式と債券の相対的魅力という観点から、インフレが株価に有利に働くとの意見もあり、実際にそう見える局面もある。
このあたりは、もっと雑な分析を以前掲載しているのでご覧いただきたい。

いずれにせよ、これらの関係はトレーディングに生かせるほど強い相関ではないようだ。
もっとも、投資家ならば幾度となく金融相場と業績相場の主役交代を経験してきており、当然といえば当然のことなのだろう。

ダモダラン教授は、至極常識的な結論を下し、投資家が目を向ける先を広げようとしている。

前四半期の株式リターンと金利変化の相関(米国債で-0.12%)は、金利上昇と株式リターン低下が同時に起こるという一般通念を支持するものだ。
しかし、金利上昇の理由をインフレ上昇と実質成長率増加に分解すると、株式は前者からマイナスの影響(相関-0.078)、後者からプラスの影響(相関0.087)を受けている。
いずれの相関も金儲けのチャンスとするほど大きなものではない。
金利、インフレ、実質成長よりも大きく株式リターンを動かす要因がありそうだ。


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