ジム・ロジャーズ氏が、投資で成功するためのタイミングの取り方について話している。
同氏は常々、自身の投資のタイミングが早すぎるとこぼしている。
私は自分がマーケット・タイミングがとても下手であることを自覚している。
おそらく世界最悪のマーケット・タイマーだろう。
それがうまくないのを自覚しているから、短期トレードをやろうとは思わない。
ロジャーズ氏が、インドETで、自身にはマーケット・タイミングの才能がないことを明かしている。
もっとも、ファイナンス理論は、効率的な市場においてマーケット・タイミングによって継続的に利益を上げることは不可能と教えている。
マーケット・タイミングの才能がないと自覚することは、いわば無知の知のようなものであり、能力に欠けていることを意味しない。
自分が正しいと思うことを探して、そこで、待つべきなのを学んだ。・・・
私は待って、買い始めるんだ。
徐々にゆっくりと買うことにしている。
いっぺんにたくさん買ったりしない。
私が買い始めるといつも下がるからだ。
ロジャーズ氏は、自身の読みがしばしば裏目に出ることを自覚している。
ロジャーズ氏は時々、自身が逆張り投資家ではないということがある。
常々《下がったものを買う》と話しているが、根源的価値よりも下がっていることが前提になっているのだ。
その意味で、同氏のスタンスはバリュー投資の考えに近い。
そして、バリュー投資がいつも苦しめられるのが、早く動きすぎることだ。
多くのバリュー投資家が、ポジションを作ってから実を結ぶまでの間の苦痛について吐露している。
ロジャーズ氏も、苦痛に耐えながら実りを待っているのだろう。
「でも、ついにはいい方向にいき、私はもっと買い増す。
それがうまくいった場合には、どんどん増えていく。」
ロジャーズ氏は「何もやらない」というやり方を好んでいると明かす。
確かに、同氏の金や米ドルに対するポジションは長い間継続されている。
長く待たされ、時々実を結び、また長い待ちに入る。
成功したほとんどの投資家はほとんどの時間を何もしないで過ごす。
何か良いものが見つかるまで待ち、そして一たび買い始めると、育つのを待つんだ。
希望通りうまくいったら、1年後に売るかもしれない。・・・
何もせず待って、そして一たび買ったら、しばらく買い増して、そして待って何もせず、大きく上がるのを期待するんだ。
こうした話をする時、ロジャーズ氏にヘッジファンド・マネージャーの面影はまったく見られない。
この投資家は実は、ファンダメンタルズを重んじる、ロング・オンリーのバリュー投資家なのである。
おそらくそこで得られるリターンは、クォンタム・ファンドが上げたような目もくらむようなものではないだろう。
しかし、一般の個人投資家にとっても、とても参考になるアプローチであるはずだ。
(もっとも個別のポジションについてはご本人が認めているように裏目も多い。)
ロジャーズ氏は最後に、自身が人生で犯した失敗について話しだした。
私の最初の妻の話を聞きたいかい?・・・
なんて大きな間違いだったことか。・・・
私は人生でたくさん間違いを犯した。・・・
私は市場でもたくさん間違いを犯したよ。