海外経済 政治

慣れておくべき政策:レイ・ダリオ
2020年3月12日

ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏が、新型コロナウィルスにかかわる対応策について金融・財政政策の協調を唱えている。


米FRBが提供すべきもの-少しばかり安い借入コストと通貨発行による金融資産買入れ-は、助けを必要としている人を助けはしないだろう。
困窮した人々や企業が(医療上の助けのほかに)必要とするのは、所得の深刻な一時的現象を生き抜くための財務的支援なのだ。

ダリオ氏がFT、自身のSNSで書いている。
ウィルスの影響で働けなくなっている人・企業にとって金利が少しばかり下げてもたいした意味はない。
彼らはごっそり稼ぎが減っている。
財政政策による補助が必要との指摘だ。

ダリオ氏は、コロナ・ショックが深刻な経済的ショックになりつつある背景を5つ挙げている:

  1. 経済停滞がどんなきっかけで来てもおかしくなかった。
  2. 米経済が債務漬け。
  3. 金利がゼロに近く、金融政策があまり効かない。
  4. 長期債務サイクルの終期にある。
  5. 富や政治の格差による分断。

4つ目の長期債務サイクルの終期とは、金利低下の超長期トレンドが続いてきて、ついに底を迎える時期だ。
金利が下げ切ってしまうために、金融政策は限界を迎える。

ダリオ氏は、この局面では金融・財政政策の協調が必要と主張する。
歴史上で同様の背景が揃ったのが1930年代だという。

成功と失敗を分ける主な要因は、財政と金融の政策を司るリーダーたちが協調する能力にある。

ダリオ氏は、この提案に反対意見が多いことを承知している。
淘汰されるべき企業は淘汰されるべきとか、財政赤字が拡大するという反論だという。
ダリオ氏はひるまない。
危機とは人や企業を淘汰すべき時ではないとし、助けるコストに見合うリターンがあると主張する。

「彼らの経済的問題はウィルスのように伝染する。
今回支援を行うのは人道的な目的だけではない。
現状、機能できなくなった生産のための人々や企業を守るのに良い経済政策だ。」

本当に、米国で今《淘汰すべき》という人がいるのかどうかはわからない。
しかし、それを別にしても、ここで財政出動を惜しむべきでない。
ダリオ氏も言っているが、コロナウィルスは天災の一種だ。
それに苦しむ人や企業を助けない理屈はない。
ターゲットをフォーカスした財政支出を工夫すべきだ。

ダリオ氏が言っているのは、ターゲットを絞ったヘリコプター・マネーに近い。
米国債増発が金利押し上げ要因となるのをFRBによるマネタイゼーションでオフセットしようというアイデアだからだ。
これは通常は禁じ手だ。
それでも議論されるべきなのは、これが好景気下での総需要かさ上げではないからだ。
落ち度もないのに困っている人たちを助けることをためらうべきではない。

ダリオ氏は、金融・財政政策の協調が今回だけで終わらないと予想している。
それこそ同氏が新たなパラダイムと呼ぶ世界だろう。

これは、私たちが慣れておくべき政策だ。
これは、経済政策立案者が、ゼロに近い金利の中での経済停滞に対処することのできる唯一の方法だからだ。

ダリオ氏は次の景気後退にかけてパラダイム・シフトが進むと考えているようだ。
ならば、投資家もそれに備える術を考えないといけない。


-海外経済, 政治
-

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 本文中に《》で囲んだ部分がありますが、これは引用ではなく強調のためのものです。 その他利用規約をご覧ください。