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恐怖が恐怖を引き起こす:ロバート・シラー
2020年2月29日

ロバート・シラー教授が、新型コロナウィルスの経済・市場への影響について解説している。


事態がはるかに悪化しない限り、世界経済への影響は限定的だ。
危険は他のところにある。
世界の金融市場が直面しうるはるかに大きなリスクが、このウィルスによって突然気づかれるようになったのだろう。

シラー教授が独Handelsblattのインタビューで新型コロナウィルスの影響について語っている。
教授によれば、心配されるサプライチェーンの分断が一時的なものにとどまるなら、経済への影響も限定的なもので済むだろうという。
シラー教授は1918年のスペイン風邪(世界の人口が18-20億人だった時代に1億人近い死者を出したと言われる)でさえ金融市場へのインパクトはさほど大きくなかったと言い添えている。

その一方で、コロナウィルスの影響が極めて甚大になりうる可能性にも言及している。

恐怖が恐怖を引き起こす。
投資家は、他の人が不安がっているのを見ると、自身も不安になり恐怖を感じるものだ。
ウィルスには神秘的なところがあり、これが現実を凌駕する強力なナラティブの引き金を引く。
とても危険であり、予見しがたい。

ついこの間まで、ナラティブがバイラルになる話ばかりしていたシラー教授だが、今では本物のウィルスがバイラルになった話をしている。
ウィルスがバイラルになったというナラティブがバイラルになったのだからややこしい。

シラー教授は、コロナウィルスへの恐怖が、より根源的なリスクを呼び覚ましたという。
教授の計算でゆうに4割以上割高と見られる米国株市場のバリュエーションだ。
これまで金融緩和の中で調整が入ってこなかったこともあり、教授は「乱暴な調整」が入るのは時間の問題だという。

恐怖は市場だけでなく経済をも襲いかねない。
シラー教授は、コロナウィルスの問題が景気後退の引き金を引く確率を15%程度と見ている。
さらに問題が深刻化すれば、世界経済の構造変化を引き起こしかねないという。

  • 弱い中国: ウィルスが長引くなら中国が弱体化し、世界経済のありようは変わりうる。
    「トランプ大統領は、強い中国より弱い中国の方がもっと危険であることを理解すべきだ。」
  • 脱グローバリゼーション: 米国の孤立主義を助長する可能性がある。
    「トランプはこのチャンスを逃さず、試そうとするだろう。」
  • 金融危機: 
    「トランプらホワイトハウスの住人が、その時必要とされる信頼感を強化できないかもしれない。」

シラー教授の大統領選民主党候補の推しはマイケル・ブルームバーグ氏だという。
確かに、過去問題となる言動がなかったのなら、多くの人が安心して推す候補だろう。
シラー教授の推しの理由はあくまでナラティブに配慮したもののようだ。

彼はトランプよりはるかに大金持ちだし、自分の力で富を築いた億万長者だから、チャンスはある。
アメリカ人はそういうストーリーが好きだ。


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