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急激な引き締めは富のショックを引き起こす:ラグラム・ラジャン

IMFチーフエコノミスト、インド中銀総裁を歴任したラグラム・ラジャン シカゴ大学教授が、世界の多くの分野での資産バブル発生の懸念を示し、各国の中央銀行に慎重な対処を求めている。


経済のとても多くの分野で、極端な低金利が将来極端に長く続くとしない限り正当化しがたいようなバリュエーションになっている。
もしも私が信じるようにインフレが一過性以上のものなら、インフレ圧力が加わり、金利は上昇するだろう。
市場が信じるのと、中央銀行が信じたいのの間に不一致がある。

ラジャン教授がCNBCで、資産バブルの発生を警告している。
教授はインフレを一過性と呼べる範囲ではなくなっていると指摘。
その結果は金利上昇となるはずだが、その場合、経済に悪影響が及ぶと心配する。

先に話したように1つの問題は、もしも中央銀行が速く動きすぎて市場が速く反応しすぎれば、経済に大きな富のショックが起こることだ。
それが消費者等を脅かし、そもそも望んでいなかった景気後退を引き起こしかねない。

米国についていえば、FRBの方が市場よりインフレに対して楽観している。
FRBの方が市場よりゆっくりとした金融政策正常化を見込んでいる。
だから、FRBが少し危機感を強め正常化を前倒しにしても、市場予想に現実がすり寄るだけで、市場への影響はさほど大きくないかもしれない。
その条件は、軌道修正が市場予想を飛び越えてしまわないということだろう。

ラジャン教授は、バブルの対処をすべき分野がいくつかあると考えている。
しかし、急激な手当ては資産価格急落を引き起こし負の資産効果を経済に与えうる。
だから、十分に慎重に進めるよう求めている。
仮に対処を怠れば、最悪のシナリオが進み始めることになるという。

長く様子見をすればするほど問題は大きくなり『中央銀行は動かない。金利は長く低いままだ。心配いらない』と信じ込まれることとなる。
最も悪いことは、各国中央銀行が市場を助けてくれると市場が信じ込むことだ。
『何か崩壊が起これば、強力な緩和策で助けてくれる』と。
その場合、中央銀行はある意味で市場のトラップに掛けられることになる。

中央銀行が財政に従属し、市場にも従属するようになれば、もはや物価の番人の役割を果たせなくなってしまうだろう。
皮肉にも、それに耐えうるのは万年ディスインフレの経済だけになるのかもしれない。


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