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忍び寄る景気後退は1970年代風になる:ケネス・ロゴフ
2020年3月5日

ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授が、景気後退が近づいており、その性質が前2回と異なるものとなりうることを警告している。


「次の景気後退は中国から始まる可能性が高い。
実際、すでに始まっているのかもしれない。」

ロゴフ教授がProject Syndicateで、世界的な景気後退がそう遠くなく始まる可能性を主張している。
ただ、元IMFチーフエコノミストの言としては、やや歯切れが悪いようにも感じる。
それには理由があるようだ。
従来の予想モデルでは測れない側面があるためだ。

教授は、景気後退の確率が、伝統的な手法による予想よりも高まっていると主張する。
理由は、次の景気後退が、前2回とは異なる性格のものになりうるからだ。

「政策立案者とともにあまりにも多くの経済評論家は、いかに供給側の要因が次の世界的景気後退を過去2回と異なったものにするか把握できていない。
主に需要不足から引き起こされる景気後退とは対照的に、供給側の停滞が生み出す難題とは、生産減少とボトルネック拡大につながりかねない。」

次の景気後退は、需要不足によるものではなく、供給力不足によるものとなりうる可能性があるのだ。
新型コロナウィルスの諸問題は、その可能性を大きく高めてしまった。
供給ショックといえば、真っ先に浮かぶのが1970年代の石油ショックだろう。

その場合、全般的な不足-いくつかの国では1970年代のガソリンのための列以来なかった-は最終的にインフレを下げるのではなく上げうる。

今、世界のほとんどの人が切実に感じていないインフレのリスク、スタグフレーションのリスクが実現しうると言っているのだ。
ロゴフ教授は、この大きな転換をもたらしうる主因を2つ挙げている。

40年に及ぶグローバリゼーションが間違いなく現在の低インフレの主因であるとすれば、貿易摩擦の高まりに加えて、コロナウィルスのパンデミック(あるいはパンデミックの恐怖継続)により国境の敷居を継続的に高めることは、物価上昇圧力の再生をもたらすだろう。
このシナリオでは、インフレ上昇は金利を上昇させ、金融・財政政策の両方に難題を突き付けうる。

需要が不足して起こる景気後退では、同時にインフレの低下が起こる。
金融・財政政策は需要をかさ上げするし、インフレ押し上げ効果を持つから有効だ。
しかし、インフレ的な景気後退では特に金融政策は厳しい判断を迫られることになる。
インフレを退治するか、経済を刺激するかのトレードオフだ。
そして、金利が上昇する場合、財政政策は余力を奪われてしまう。

ロゴフ教授は、1つの特効薬が米国による中国への輸入関税の撤廃であるとし、世界的な景気後退では孤立でなく協力が必要になると述べている。


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