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弱気派の投資選択:デービッド・ローゼンバーグ
2021年3月22日

ベア派エコノミストのデービッド・ローゼンバーグ氏は、足元の経済回復が一時的なものに終わり、2020年代が「退屈な20年代」になると予想している。


米国で数四半期すばらしい経済成長が見られるのは疑いの余地がない。
考えなくともわかることで、みんな知っている。
先例のない財政刺激策が講じられるんだから。

ローゼンバーグ氏がBNN Bloombergで、強い景気拡大が市場が織り込むより短期的なものに終わると予想している。
今回の一連の財政刺激策が、ルーズベルト、トランプ、ブッシュ(Jr)、オバマ政権などで講じられた政策と比べて短期的な効果しか及ぼさないと考えるためだ。

「(市場)コンセンサスが今見ていることに驚いている。
すべての刺激策は2四半期程度の効果で、すべて一過性のものだ。・・・
みんな『狂騒の20年代』になると考えているが、私は『退屈な20年代』と呼んでいる。
2022年、米国は大規模な財政収縮になるんだ。」

ローゼンバーグ氏は、近時予想される高成長がパンデミック対応の刺激策によるものであるとし、社会活動・経済が再開するにしたがい逆に剥落していくと考えている。

FRBは17日、米実質成長率の予想(メジアン)を2021年について上昇修正した。

FOMCによる米実質成長率予想(2021/3/17)
2021年 2022年 2023年 長期
今回 6.5% 3.3% 2.2% 1.8%
昨年12月 4.2 3.2 2.4 1.8

今年の成長率6.5%は、近時見たことのないような実質成長率だ。
民間のエコノミストの中には、これを上回るとの予想も見受けられる。
一方で、2022年以降は急速に低下し、長期的な見方にはほとんど変化がない。

ローゼンバーグ氏やFRBの見方が正しいなら、市場のコンセンサスは楽観過ぎるということになろう。
同氏は、中央銀行が一過性の要因をもとに大きな政策変更を行うことはないと指摘する。

これに対して、能天気な株式市場は異なる見方を呈示するかもしれない。
確かに経済成長は再び低調になるかもしれない。
しかし、そうならばインフレも進まないし、金融・財政政策を引き締めることもできない。
結局のところ、実体経済はともかく、資産市場は潤うのではないか。

こうした相反する予想はいつの時代にも存在する。
しかし、パンデミックによる景気後退・回復の特殊性、近時の各国の財政・金融政策の規模の大きさは際立っている。
市場では強気が勝っているが、強気と弱気の温度差がいつになく大きい。
こうした局面で重要なのは、リスク・シナリオ(現在の場合は弱気シナリオ)を無視しないことではないか。

では、弱気派のローゼンバーグ氏は、市場をどう見ているのか。

「私は世界を見回して、今本当のGARP(合理的価格のグロース)がどこにあるかを見ている。
カナダ市場はGAPRではないし、米市場は世界一割高だ。」
(ローゼンバーグ氏はカナダ人で、BNN Bloombergはカナダのメディア)

ローゼンバーグ氏は米・加の市場を割高と見ているが、それでもチャンスがないとは考えていない。
バリュー対グロースという軸で単純に優劣を語りもしない。
長期的な成長率・企業収益とバリュエーションの関係を重視しているという。

「航空やホテル、レストランなど単一のアイデアには近づきたくない。
経済回復に賭けるなら、もっと分散したやり方がいい。
だから、金融株に対して強気なんだ。
金融株はどんな経済回復でも機能する分散した方法だ。」

さらに、エネルギー株はすでに上昇しているものの、背景にあるコモディティ価格の上昇と比べるとまだ2割程度のアップサイドがありうるという。
地域では、英国、日本を含むアジア、ドイツが魅力的に見えるという。

過去10年あまり、日本では不動産価格が比較的上昇していなかったが、世界の多くの国々では金融緩和を背景にはるかに高いペースで上昇していた。
(それが、日本の基調的なインフレ率の低さの原因と指摘されている。)
これはカナダも例外ではない。

ローゼンバーグ氏は、自国カナダの住宅市場について「巨大なバブル」だとし、さらに膨張しうると心配している。

「賃金上昇がない中で住宅価格が年18%上昇している状況だ。
住宅価格を所得に対して回帰分析すると、2000-01年のドットコム株のようだ。」

ローゼンバーグ氏が総じて言いたいのは、マチマチということのようだ。
割高な市場にも買えるものがある。
ところによっては明らかなバブル市場がある。
丁寧に中身を吟味することが投資家に求められているのだろう。


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