海外経済

弱気の一因は生産性への強気:デービッド・ローゼンバーグ

ベア派エコノミストのデービッド・ローゼンバーグ氏が、トレードマークのベア・トークを続けている。
ややコンセンサスが片方に寄りすぎているようなきらいがあり、少数派の意見も留意しておこう。


今年の私の新たなテーマは、コンセンサスに対して逆張りすることだ。
コンセンサス予想の穴を探すのが私の人生だから、みんな驚いたりしないだろう。

ローゼンバーグ氏がFinancial Postへの寄稿の冒頭、自身が何者かを宣言している。
同氏は、大勢の見方(多くはブル)の逆に張って大きく当てることを快感に感じる人物だ。
的中まで不愉快な時期が続くのをいとわない強い意志の持ち主だ。

この寄稿でも相変わらず中長期のディスインフレを予想している。
いくつも根拠を挙げているが、中から2点だけ紹介しよう。
1つ目は米企業の生産性だ。

私は生産性についてとても強気で、2020年に現れた大きな構造要因の1つが、経済が昨年3.5%収縮したにもかかわらず、企業の自動化のための支出が数量ベースで6%上昇したこと。
経済全体が1946年以来最悪だったのに、生産性は2.5%改善し10年で最高となった。

昨年から予想されていたことだが、米企業の決算が概ね好調だ。
米企業の常套手段として、危機が起こると人減らしを行う。
経済全体にとってよい話ではなかろうが、企業にとっては良いことであることが多い。
筋肉質の企業体質となり、生産性が向上する。
生産性の向上による果実から賃上げを行う分にはコスト高にならないから、インフレ要因にもならない。

現在を1970年代と異なるものにするのは、生産性のトレンドがインフレと逆相関している点だ。
これは、インフレの原因となる単位労働コストのインプリケーションによるものだ。
1970年代から1980年代初めのインフレの主因は、当時実質的に生産性向上がなく、生活費連動条項の激増により賃金(上昇)が生産性(向上)をはるかに上回ったことにあった。
だから、一過性の供給不足のために持続的なインフレが起こるという話は全くナンセンスだ。

前回のインフレの時代、1970年代から1980年代初めには労働組合の力が強く、労働分配率も高かった。
こうした時代にはフィリップス曲線が機能しやすかったのは当然のことだった。
ところが、その後、労働者の交渉力は低下し、労働分配率も低くなった。
だから、インフレになりにくいという主張だ。

もう1つ忘れてはいけない観点として、ローゼンバーグ氏は、貯蓄と財政の崖についても言及している。

とても重要な要素は、一たびすべての歪みが行き着いた後の新たな平衡状態で、個人貯蓄がどの水準に落ち着くかという点だ。
(現状の)27.6%でないことは確かだ。
この水準にある理由は唯一、過年度に政府からの給付金が148%も急増したためだ。
財政による給付を除外した真の所得は、前年比でかろうじて1%を超える程度だ。


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