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引退を遅らせるべき3つの理由:FOX
2019年6月11日

FOX Businessが仕事からの引退を遅らせることのメリットを論じている(Motley Fool報)。
しかし、そこから見えるのは制度上のリスクの大きさであり、自助努力の重要性だ。


「引退は万人の人生にとってわくわくする節目になる。
ほとんどの人は引退時期が早すぎるとは思わないだろう。
しかし、残りの人生に必要な貯蓄をしないうちに急いで引退すれば、あなたの穏やかな輝く年月はストレスの多い悪夢へと変わってしまうだろう。」

十分な蓄えを持たずに引退することのリスクをFOXが警告している。

かつての米国の中流階級では、アーリー・リタイアメントは多くの人にとって実現可能なあこがれだった。
日本とは違い、経済力さえともなえば仕事から身を引くことに違和感を感じない米社会。
しかし今、外聞ではなく経済力の方がアーリー・リタイアメントのハードルになりつつある。

FOXは引退を遅らせることで得られる3つのメリットを説明する。

  • 老後資金を増やせる
    引退を遅らせれば3つの理由で老後資金が増える。

    • 長く働いて、長くつまり多く貯められる。
    • 高齢者は何かと出費の多い若い世代より多く貯蓄できる。
    • 投資期間が長くなり、投資の果実が増える。
  • 必要な老後資金が減る
    引退から死ぬまでの期間が短くなるから、必要な老後資金が少なくなる。
    (原記事はこう主張するが、これは1つ目の効果をダブル・カウントしていると考えるべきだ。)
  • 年金が増える
    年金の種類・仕組みによるが、拠出期間が長くなれば給付も増える。

こうした考え方は各国の制度によって効果が大きく変わるので注意が必要だ。
例えば最近、日本では在職高齢年金の廃止・縮小の検討が伝えられている。
引退を遅らせることで年金が減るのなら、3つ目の指摘は逆に向くことになる。
これが高齢者の就業へのインセンティブをそぐ一因となっていた。
現在の仕組みは、そうした不合理を抱えている。

また、金融庁が今月、長寿命化にともない老後資金(2人世帯)が20百万円必要と公表したのも記憶に新しい。
これが年金制度だけでは生活できないことを認めるものだとして政府内外から批判された。
おかしなことを批判するものだ。
ただ生きるだけなら年金だけでも可能かもしれないが、人間らしい老後を送りたければ(年金の内容によるものの)とても20百万円では足りない。
そんなかなり確かな事実を述べるだけで、建前と異なるから批判されるというのも気の毒だ。

民間では30百万円必要としているところが見られるが、(年金の内容によるものの)これで豊かに暮らせるとも思えない。
現役時代と同じ豊かさ、老後の医療費等のあらたな出費を考えると、老後資金の必要額はかなり高いはずだ。
浜町SCIでは、この質問を受けた時、住居が自己保有で1人50百万円、夫婦で1億円と答えている。
(ただし、親孝行で経済力のある子供を持ち、子供の世話になる覚悟がある場合、1人につき30百万円程度を差し引ける。
もっとも、子供の世話になると話す人は皆無だ。)
終身雇用の時代とは年金の内容は異なってくるはずだし、これからは熟年離婚の可能性さえ意識すべきだろう。
しかし、たとえ共稼ぎを続けようと、夫婦で給料・賞与から1億円を貯めるのは至難の業だ。
だからこそ、なるべく若いうちから奇をてらうことのない着実な投資手法を学んでおくべきなのだ。


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