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幻想のマネーに安心するな:マーク・ファーバー
2021年1月2日

スイス人著名投資家マーク・ファーバー氏が、終末博士の異名どおり、現在直面するリスク・シナリオについて端的に説明している。


今日の難しさは、 生きている世界がもはや経済的に伝統的な世界ではないということだ。
私たちは、貨幣増発の世界に生きている。

ファーバー氏が印BOOMのインタビューで、大規模な貨幣増発(債務増発による大規模財政支出とその債務のマネタイゼーション)が投資にもたらした影響についてコメントしている。
経済に流通する貨幣が人為的に増やされると、バリュエーション、価格形成メカニズムなどが歪み、予想が困難になってしまうという。

ファーバー氏は、明言しないものの、株式に対して弱気であると匂わせている。
株価は判断基準によっては割高と考えられるからだ。
同氏が予想困難という背景には、この割高な状態を解消するプロセスが見通しにくくなっているからだ。
伝統的には、株価が十分下がれば割高感は解消する。
しかし、貨幣増発が起こると、もう1つのプロセスの実現可能性が無視できなくなってくる。

もう1つの方法は、株価は上昇するかもしれないが、通貨が崩壊し(実質的な)株価を押し下げるというものだ。
あるいは、株式が上昇するが、金がはるかに上昇し、対金で株式がアンダーパフォームする。

金との相対価格が低下することをもって、株価調整と呼ぶかは議論があろう。
(ただし、貨幣の価値低下を心配する人の中でこうした議論があることは事実だ。
ジェフリー・ガンドラック氏は、S&P 500の対金での相対価格が過去20年間で見て低下した事実を指摘していた。)

一方、単純に貨幣の価値が下落し、名目株価が下がらないのに、株式の価値(実質株価)が下落するのなら、これは正真正銘のリスクだ。
どれだけの発現確率があるかはわからないが、コロナ・ショックにともなう貨幣増発の規模の大きさを考えると、無視できなくなってきたのかもしれない。
これが投資戦略を難しくする。

いつものように株価が下がるなら、現預金や債券が有利になる。
名目株価が上がり、貨幣の価値が下がるなら、リスク資産が有利になる。

ファーバー氏は、まやかしの貨幣の上に安住するだけではいけないと警告する。

貨幣増発が生み出す、経済学者アーヴィング・フィッシャーが貨幣錯覚と呼んだものによって、儲けるのは不可能ではないが、より複雑になる。
あなたはお金を持っているかもしれないが、貨幣増発によって、それは幻想のお金になっていく。


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