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年前半に20%までの調整が入る:バイロン・ウィーン
2021年1月26日

ブラックストーンのバイロン・ウィーン氏が、年初の「びっくり10大予想」を自ら解説し、市場が予想するより大きな調整が年前半に入ると予想している。


毎年(びっくり大予想の)プロセスはコンセンサスの見方を見極めるため夏に始まり、クリスマスあたりに終わる。・・・
びっくり(サプライズ)であるためには状況がコンセンサスに反しているか、コンセンサスよりはるかに極端に高いか低いかでなければならない。

ウィーン氏が投資家向け書簡の中で、毎年恒例の年初の「びっくり10大予想」について解説している。
同氏がびっくり(サプライズ)にこだわるのは、それが実現した時に市場を動かしうるからだ。
単なる予想では、たとえ的中したとしても市場を動かすことはほとんどない。
大部分が市場に織り込まれているためだ。

ウィーン氏の月例書簡では、特に年前半は、びっくり大予想のフォローアップの形式をとることが多い。
とりわけ1月末の書簡は、大予想の解説にあてられる。
中からいくつかウィーン氏の本音が伺われる部分を紹介しよう。

まずは6番目のサプライズ。
米国が公然とMMTに取り組むとの予想だ。
ウィーン氏は、事実上のマネタリー・ファイナンスが難しい危機を乗り切るのを可能にしてくれたと書く一方、将来の不透明感を吐露している。

米国はもう20年以上も財政黒字を達成しておらず、近くそうなる見込みも暗い。
『この債務負担を孫たちに背負わせてはいけない』という声を聴くこともほとんどなくなった。
この債務蓄積の長期効果がどうなるか、誰もわからない。

コロナ・ショックが極めて特異で深刻な危機であることはもはや異論の余地はない。
だから、政府の財政状況にかかわらず、やれる財政出動を(適切な使途に)行うのは当然のことだ。
それがマネタイゼーションだろうが、マネタリー・ファイナンスだろうが、MMTだろうが、やれることをやっている。
世界中の人々がその方向性に賛成している。
もちろん財政悪化は望ましいことではないが、やむをえないことはやむをえない。
ただし、その話と将来どうなるかはまったく別の話だ。
モノのわかる人は、将来の帰結を考える時、ウィーン氏と同じく「わからない」と途方に暮れているのではないか。
私たちがなんとなく予見できていることはとても少ない。

いつか増大した流動性がインフレを生むものと予想される。
まだ起こってはいないが、もしも起こっていたら金利がおそらく上昇し、コスト増により財政赤字を続けるのが困難になっていただろう。
経済が回復しこの長期的課題に対応しうる状況になるまで、こうした局面に直面しないことを願う。

インフレが高まってしまえば、中央銀行は踏み絵を踏まされることになる。
利上げをすればインフレにはブレーキが踏まれるが、政府を初めとする債務者は壊滅的な打撃を受けるかもしれない。
逆に、インフレでも金融緩和を解かなければ、インフレはさらに加速する。
だからこそインフレ・ヘッジを考える投資家が増えている。
ウィーン氏は、金とビットコインが買われると書いている。

8番目のサプライズは米国株市場の強気予想。
しかし、ここではウィーン氏が予想する年前半の調整についての記述を紹介しよう。
同氏はその理由として割高な株価と市場の楽観を挙げている。

「短期見通しには心配すべき理由が多くある。
投資家は、経済回復がワクチンの進展と相まって投資しやすくなると信じている。
これにより、家計、外国投資家、ミューチュアル・ファンドにおいて投資家の株式に対する楽観が史上最高に近い。・・・
ほとんどの投資家は時々5%–10%の調整が起こると予想するものだが、こうした下落はしばしば予想以上となるものであり、私たちは2021年(の調整)が20%に近いものになると予想している。」

最近はジェレミー・グランサム氏のように、バブル崩壊が近づいていると予想する人も出始めている。
仮にウィーン氏のいうように20%近い調整が起こった時、投資家は大いに迷うのではないか。
グランサム氏のいうバブル崩壊なのか、ウィーン氏のいう調整なのか。

ウィーン氏は、債券に弱気・株式に強気となった1つの前提をこう書いている。

イールドカーブはスティープ化するが、インフレが緩やかに上昇するため、実質金利はゼロ近傍にとどまる。
FRBは、住宅ローン金利を低位に、住宅市場を強く保つため、資産買入れのデュレーションを長期化する。
インフレと金利の両方が上昇すると予想するが、数年間は概して低金利環境が継続すると信じている。


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