ウォートンの魔術師ジェレミー・シーゲル教授が、年内の米国株市場に強気予想を続ける理由を説明し、大きな押し目買いのチャンスは来ないと予想した。
私はまだ心配はしていない。
まだ米国は力強いブル相場だ。・・・
しばらくは現状を楽しもう。
これが続くだろう。
シーゲル教授がCNBCで、自身の強気スタンスに変わりはないと強調した。
もっとも、シーゲル教授が強気か否かは表現のしかた次第だろう。
《永遠のブル》に言わせれば、大概の話は強気ということになるのだろうが、普通の人からすれば必ずしもそうでないこともある。
教授は最近、米国株が2022年に横ばいになると予想している。
《永遠のブル》の横ばい予想は、バイアスのない人を「心配」させるはずだ。
シーゲル教授は、景気後退・弱気相場のルーティンを説明する。
1) 景気が拡大し、インフレが上昇する。
2) インフレを看過できないFRBが金融引き締めを行う。
3) 景気後退・(前後して)弱気相場を生む。
1)と2)について、シーゲル教授はFRBほどには楽観していない。
「金利とインフレがFRB予想よりかなり高いところに上がるだろうと予想している。
4-5%のインフレがやってきて、FRBは、先月出されたばかげたドット・プロットより早く利上げすることになろう。」
今後、ベース効果もあって、インフレは上昇するだろう。
一方、FRBはインフレに対しかなり辛抱強いスタンスをアピールしている。
これが、シーゲル教授を、少なくとも年内について、強気にしているようだ。
「金利が上がるにしても、インフレが上昇するから、まだ借金は割に合う。
金利3%での借金も、インフレが4%なら怖くない。
だから、そうした借金によってまだ上がる。」
依然として米10年もの実質金利(物価連動債利回り)は深くマイナスに沈んだままだ。
これは米長期債に投資してもインフレ分さえ得られないであろうことを意味する。
逆に借入金利も極めて低いから、借金をしてリスク資産に投資することに妙味がある。
つまり、レバレッジに優しい市場環境だ。
シーゲル教授は、強気相場が2021年内続くと明言する。
仮に年内にFRBがテイパリングをサウンド/実施する状況になっても、大きな押し目買いのチャンスはやってこないと考えているようだ。
長期債はさらに不利になり、現金は減価し、実物資産を持たざるをえない: 不動産か株式だ。
風向きが変わりテイパリングが行われる場合でも、他の何に投資できるんだ。
1)が実現し、2)の入口に来ても、引き続き株式は(現金・債券等と比べ)有利なままだ。
では、2)が本格化(利上げ)するのはいつなのか。
シーゲル教授は近いうちにはないと予想し、珍しくかなり生臭い深読みを披露している。
教授が来年を横ばいと見る理由がそこに現れている。
「パウエルFRB議長は現在バイデン大統領と、来年2月の議長再任のための駆け引きをやっているんだ。
これがゲームだからこそ、パウエルは言うことをよく聞いている。・・・
一たび彼が次の4年再任されれば、もっとインフレに対して厳しい姿勢をとるだろう。」
では、いつ3)が来るのか。
シーゲル教授はまだまだ相当に先と考えているようだ。
FRBが相当大きく舵を切らない限り起こらない。
そうなったら心配すればいい。
20%の下げが来るまで、30-40%上がる可能性もある。・・・
今はブームの9回じゃなく、3回のように思える。