ウォーレン・バフェット氏の語録から、大荒れの市場環境で思い出しておきたい8つを紹介しよう。
(引用部の出典: 桑原晃弥『ウォーレン・バフェット-成功の名語録』)
危機に際して現金に勇気が加わると、その先は計り知れない。
急落はある人にとっては危機だが、思慮深い長期投資家にとってはチャンスでもある。
だから、下げ相場のチャンスに備えてある程度現金を温存しておくのはよいこと。
相場が下げ、現金が手元にあったとしたら、あとは勇気があれば大きなチャンスが開けるだろう。
チャンスとは具体的にどんな時だろう。
他人が貪欲になっている時は恐る恐る、周りが怖がっている時は貪欲に。
単純に下げているから買えばいいというものではないのだろう。
ほとんどの市場参加者が恐怖のあまり合理的判断を超えて投げ売りをしてしまうことがある。
こうした時こそがバーゲンのチャンスになる。
バーゲンがやってきた時、どのようなスタンスで臨むべきか。
来週抽選が行われる宝くじと、少しずつ金持ちになるチャンス。
人はたぶん、前者のほうに可能性を感じてしまうのでしょう。
大きく下げれば、自律反発することも少なくない。
こうした荒い値動きを投機のチャンスと考える人もいるだろう。
もちろん、そういうトレーダーがいても全然かまわない。
しかし、それは投資、少なくともバフェット氏が共有する投資とは言えないだろう。
喜んで10年間株を持ち続ける気持ちがないのなら、たった10分間でも株を持とうなどと
考えるべきですらないのです。
急落がチャンスなのはトレーダーも投資家も同じだろう。
しかし、バフェット氏は、あくまで長期投資を前提として行動すべきと説く。
市場のボラティリティに任せて、ちょっと摘まんであわよくば少しばかりのお小遣いを稼ごうなどとすべきではないのだ。
(もちろん、あなたがトレーダーならば、それは個人の自由だ。
幸運を祈ろう。)
急落で株価が下がったからと言って、何でも買えばいいというものではない。
「なぜ自分は現在の価格でこの会社を買収するのか」という題で一本の小論文を書けないようなら、100株を買うこともやめたほうがいいでしょう。
下げたから買うのではなく、買う価値のある銘柄だから買うのだ。
急落の時には多くの銘柄が割安に見えることがある。
しかし、バリュエーションが単純に低いからというような理由で安易に買うべきではない。
急落時でも投資先について妥協すべきではない。
急落時に瞬時に投資対象を選び出すには、日頃からの銘柄研究が必要だ。
まずまずの企業をすばらしい価格で買うよりも、すばらしい企業をまずまずの価格で買うことのほうがはるかによいのです。
バフェット氏が投資先として「すばらしい企業」を厳選するのは有名な話。
市場急落時は「すばらしい企業」でさえ少なからず下げるものだ。
これはバフェット氏にとって大きなチャンスになる。
一方、もう少し間口の広い投資をしている人もいる。
ハワード・マークス氏のように悪い企業(ディストレスト)への投資で成功する投資家もいる。
同氏は「良い投資とは良いものを買うことではなくうまく買うこと」と話している。
「うまく買う」とは、価格をはじめとして有利な条件で買うことを意味する。
対照的な2人だが、共通している点がある。
10,000ポンドの重量のトラックが橋を渡るのであれば、橋の強度は10,001ポンドではなくて、15,000ポンドの重量に耐えられるものでなければならない。
一たび検討可能な銘柄を見つけたら、投資対象の価値に対して十分に安い価格で買うことに尽きる。
「安全域」を大きくとれれば、成功の確率は高くなる。
今回のような市場急落時には、価格も大きく下落するが、企業業績も大きく悪化することが多い。
ショックが去れば業績が回復するのか、その読みがカギになる。
最後に、下げたからといって何か行動を起こさなければいけないわけではない。
投資の世界には、見送りの三振がありません。
・・・投資家がストライクをとられるのは、空振りした時だけなのです。
投資の世界では、何らかのチャンスを見送ったからといって大きなペナルティがあるわけではない。
問題が起きるのは、誤った行動に走ってしまう時、行動の結果うまくいかない時である。
自分が正しく行動できる自信がないのなら、何もしないというのも選択肢なのではないか。
もっともインデックスを意識せざるをえない機関投資家ならば、そうもいかないだろう。
でも、それは、そもそもあなたが仕事を決める上でそう選択したということにすぎない。
サラリーマンとしての労働ならば片時も逃げることができないのは当たり前だ。