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市場は砕けた。完全に崩壊も:デービッド・アインホーン
2021年4月19日

グリーンライト・キャピタルのデービッド・アインホーン氏が、FRBの金融政策を批判し、市場に不法・奇妙な事象が散見されると書いている。


実際のところ、FRBは非対称なインフレ政策を採っている:
FRBは、株式市場と社債保有者経済を助けるために、ダウンサイドでは先回りしたがる。
どんなに株式市場経済が過熱しようとも、上昇時には後手に回る方がよいとしている。

アインホーン氏が第1四半期の投資家向け書簡で、FRBの金融政策を批判した。
打消し線は原文のママである。
FRBが実体経済より金融市場を優先しているとあてつけているのだ。
そして、とにかく金融緩和を続けたいと願っていると観察している。

「FRBは、異常に高いインフレが一過性のものと信じていると示してきた。
FRBはどうやってわかるんだ?
物価上昇には『一過性』というラベルがついているものなのか?」

長らくインフレから遠ざかってきたことで、FRBはデュアル・マンデートのうちの《物価安定》を軽く見るようになった。
以前とは異なり《物価安定》とはインフレの抑制ではなくリフレとなった。
これは、もう1つのマンデート《雇用の最大化》と同じ方向を向いている。
つまり、金融緩和を長く続けよう、となる。
みんなこんなふうにFRBの足元を見ている。
だから、米市場では依然としてロングの方に実りが多い。

グリーンライトは過去数年劣悪なパフォーマンスに苦しんできた。
大雑把にいえば、バブリーな銘柄をショートし、バリューな銘柄をロングした結果だった。
それが昨年第4四半期にようやく復活の兆しを見せた。
平均エクスポージャーをロング134%、ショート70%とし、ロング側が寄与したのだ。
同四半期のリターンは25%と、グリーンライト史上最高となった。

第1四半期については、S&P 500が+6.2%だったのに対し、グリーンライトは-0.1%と、再びアンダーパフォームしている。
相変わらずロング(平均エクスポージャーはロング118%、ショート81%)が寄与したものの、大きなマイナス要因が2つあったという。
1つは、最大のロング・ポジションが2倍に上昇し、ポジションを減らす必要に迫られたこと。
大きな金額の売却であったゆえに、安く売らなければならなかった。
もう1つはGameStop騒動の余波。
ショートの中に、悪影響が及んだポジションがあったという。

やはり今のところはロングが稼いでくれているということだろう。
そして、それはFRBの金融政策に密接に関連し、そこにはインフレ懸念が付随する。

アインホーン氏は引き続き、インフレへの警戒を崩さない。

FRBはインフレと戦うツールを持っていると言うが、その時がきてFRBがツールを使う意思があるかどうか。・・・
それはいつか議論するとして、今はインフレとインフレ期待の上昇に備えたポジションを維持しよう。

アインホーン氏は、今回の書簡で、市場において不法・奇妙な現象が増えていると書いている。
しかも、それが法や規則で適切に対処されていないという。

  • GameStop騒動でのイーロン・マスク氏のツイート:
    「彼には法が適用されず、何でもやりたいことができる。」
  • ペニー株のブーム: 倒産した会社の株が上昇。
  • ホームタウン・インターナショナル(HWIN):
    ニュージャージーの田舎に1件のデリを保有し、売上は2019年21,772ドル、2020年はコロナで13,976ドル。
    これでも上場企業である。
    (筆頭株主はCEO、CFO、会計係、取締役を兼務し、デリの隣の高校ではレスリングコーチを務めているそうだ。)
    この会社の株が2月8日に113百万ドルになった。
    過年度の実績に対しPSR(PERではない)で8,000倍だ。
    アインホーン氏による証券分析: 「きっとパストラミがすばらしく美味しいんだろう。」
  • ニューヨーク州司法長官によるテザーの捜査:
    元々胡散臭い暗号資産が、心配されていたとおりの結果になった。
    発行額と同額を引き当てると約束していたが、なされておらず、8.5億ドルの損失を隠蔽していた。
    結果、テザーは18.5百万ドルの罰金を支払い、ニューヨーク州民との取引解消に同意した。
    つまり、ニューヨーク州民以外については、問題は何一つ解決しなかった。

本書簡に一貫して流れているのは、FRBを筆頭に、規制当局の側に緩みがあるのではないかとの認識だろう。
これはバブルという概念と無縁ではない。
しかし、本書簡でアインホーン氏は「frothy」という言葉を1回だけ使っただけで「bubble」という言葉は使っていない。
むしろ規制の側に目を向け、「市場を準無政府状態が支配している」と書いている。

ほとんどの場合で誰も見張っている人がいない。
金融詐欺を訴追する検察官はいないようだ。
不法行為を働く大胆さのある企業や経営者はほとんど恐れていない。・・・
こうした状況に引き込まれた小口投資家は最終的には損害を受ける可能性が高いが、投資家を保護するとされている規制当局は存在もしないか、興味を持っていないようだ。
伝統的な見方からすれば、市場は砕け、もしかすると完全に壊れてしまう過程にあるのかもしれない。

金融詐欺について大学で講義を持っているジム・チャノス氏は、過去の事例の調査により、詐欺のサイクルが金融サイクルに遅れをともなって追随すると指摘している。
強気相場の間、人は猜疑心を失い、それが表面に出てくるのは市場が下げに転じた後になるのだという。


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