アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、5日発表の雇用統計の良好な結果に戸惑いつつも、慎重なスタンスを継続している。
まだ頭を掻いているいるところなんだ。
私だけじゃないと思う。
5月中旬時点の他のデータと全然整合性がない。
エラリアン氏がYahoo Financeで、予想外の改善を見せた米雇用統計に戸惑いを隠さなかった。
5日発表の5月の米雇用統計は
- 非農業部門雇用者数: 2.5百万人増(市場予想8百万人減、前月20.6百万人減)
- 失業率: 13.3%(前月比-1.4%ポイント)
もちろんこれだけで何を結論することはできないのだろうが、これだけを見るなら、米経済はロックダウン解除とともに底を打ったかに見える。
総じて悲観的な見方を続けてきた多くのエコノミストにとってはショックな数字だったろう。
エラリアン氏は、予想外の結果からいくつか示唆される点を列挙した。
- この改善を期待する人はいなかった。
- 市場が希望し織り込むように、経済が大きく上向いた可能性がある。
- 政策が失業対策としてうまく機能した可能性がある。
- 統計のノイズが大きいだけかもしれない。
エラリアン氏は、最終的な評価は来月の統計を待ちたいと述べた。
同氏は、特に失業保険申請件数が高止まりしている点を指摘し、どちらが実態を良く示すものか決めかねている。
みんな、良くなっており、再始動が予想よりうまくいっていると希望しているが、もう1つ重要なのは、市場が待ってはいないということだ。
これが、過去数週間市場を浮揚させた仮説を裏付け、株式からフィクスト・インカムまで全面的にこのニュースで離陸した。
市場は雇用統計を素直にプラスと捉えた。
無理もない。
マイナスに捉えたり無視したりする特段の理由がないからだ。
5日のS&P 500指数は前日比2.62%上昇の3,193.93で終えている。
エラリアン氏は、雇用統計に改善が見られたことで、議会が救済策に積極でなくなる可能性があると心配する。
実体経済の救済がまだ済んだとはいえず、仮に5月の雇用統計が実態を示していないとなれば、「悪夢のシナリオ」になるという。
エラリアン氏はBloombergで、FRBも市場救済の手を緩める可能性があるとして、米国債がヘッジ手段にならなくなる可能性に触れた。
代わりに短期の社債の検討を促している。
エラリアン氏の慎重スタンスは動かない。
望まれるのは、ファンダメンタルズの改善が、高い資産価格を正当化してくれることだ。
それなら秩序ある結果になる。
そうでないと、いつかファンダメンタルズが主張を始めることになる。