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市場の調整をかわすファクター戦略:ジェレミー・シーゲル

ウォートンの魔術師ジェレミー・シーゲル教授は、インフレが予想外の悪化を示せばさらに5%超の調整が起こりうるとして、調整に備えるファクター選択を解説している。


「今日の市場での良いニュースは・・・明らかに好ましい『再開トレード』だったことだ。
この先予想する大きなマイナス要素は、第4四半期にインフレがはるかに上昇するということだ。
それがFRBにQE(テーパリング)のスケジュールを加速させるよう圧力を及ぼすことだ。」

シーゲル教授がウォートン・ビジネス・ラジオで1日、市場の最重要の材料をおさらいしている。
好材料はパンデミックが改善していること、悪材料はインフレ・リスクというわけだ。
教授によれば、市場はテーパリングが来年半ばに終わると想定しているという。
FRBは、インフレが予想以上に悪化すればテーパリングを速める可能性があると述べているが、シーゲル教授によれば、市場はインフレ悪化のリスクを十分織り込めていないという。
そして、教授は、従前どおり、インフレがさらに悪化すると予想している。

シーゲル教授は、以前からテーパリング加速なら10%超の調整が起こりうると話してきた。
すでに5%近く調整しているため、さらに5-7%調整する可能性があるという。
教授は、そうした調整が終われば、2022年にかけてお買い得な銘柄も出てくるだろうと話す。
ただし、だからといって短期トレードを奨めることはない。
シーゲル教授は人生を通して長期投資を推奨してきた。

私がみんなに言いたいのは、仮にそうなるとしても、5、6、7%調整する中、現金を持って短期のトレードをやれというのではなく、再開銘柄やいわゆるバリュー株がこうした中で最も持ちこたえるだろうから、そういうポジションをとっておけば同じような損失は受けずにすむということだ。
そうした物価データが出てくるのは10月半ば以降かもしれない。

一方で、シーゲル教授は、金利感応度の高いテクノロジー株が下げがきつくなると予想する。
さらに、自身の予想が外れる場合にも言及している。

「もしもインフレが第4四半期に悪化しないなら、明らかに市場にとっては良いことで、あらゆるものが買える状況になる。」

もっとも、現時点でシーゲル教授のインフレに対する見方は上向きだ。
以前にも、インフレを懸念する材料として住宅関連、値上がり品目の品切れ、原油・天然ガスを挙げていた。
心配されたとおり、家賃や天然ガス価格の上昇は顕在化している。
これが物価指数に反映されてくれば、FRBは「一過性」の定義をさらに長くせざるをえなくなってくるだろう。

シーゲル教授は、インフレの主因の1つ、マネーサプライの動きについてもコメントしている。

米マネーサプライM2の前年同月比
米マネーサプライM2の前年同月比

「8月(のマネーサプライ)はかなり大きく増加している。
過去3か月はやや鈍化が見られたが、FRBはインフレのモメンタムを止めるために流動性を減らすようブレーキを踏む必要に迫られるだろう。
これは短期的には市場にとって問題となる。」

パンデミック以降、財政・金融政策によって民間に移転したお金がインフレの大きな原動力となっている。
ディスインフレの時代ならインフレ上昇は喜ばれる面もあったろうが、インフレが目標を超えてくると文句の方が声が大きくなってくる。
これが政治を動かし、これまでの市場の想定をひっくり返すかもしれない。

シーゲル教授は、インフレが人々の購買力を奪い始めていると指摘する。
賃金がインフレに追いついていないとの含意だろう。

それが政治的な要因になりつつある。
これが2022年のバイデン政権や中間選挙にとって最大の政治的要因となるうる。・・・
インフレが悪化するようなら、誰もすでに決定した以上の刺激策を求めなくなるはずだ。


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