アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、順調に回復する株式市場と中央銀行の金融政策について現状を解説した。
中央銀行のプットはとても強力と考えられており、最も感応度の高いボラティリティさえ抑制してきた。
エラリアン氏がBloombergで、各国中央銀行による金融政策が市場に安心感を与え、ボラティリティを抑制し、株高につながっていると示唆した。
古くはグリーンスパン・プットと呼ばれた金融政策による株価下支えは、資産効果の効きやすい米国で特に多用されてきた。
FRBは日銀のように株式を買い入れてきたわけではない。
かつては緩和強化、今は緩和強化の暗示によって事実上株価を持ち上げている。
エラリアン氏は、さらに金融緩和が強化されるとの予想について理屈がないと呆れる。
米国でイールド・カーブ・コントロール、マイナス金利政策の話題が挙がるのは驚きだ。
市場の機能不全の証拠もなく、信用が凍り付いた証拠もなく、金融政策が経済回復の制約になっている証拠もないのに。
それでも非伝統的政策を強化しようとしており、冷や汗が出る思いだ。
今どうして各国中央銀行が政策を強化しなければいけないのか。
エラリアン氏は、政府・中央銀行による市場への介入は節度ある範囲に収めるべきと考えている。
FRBはすでに前例のない金融緩和・市場介入を行っている。
市場の流動性はすでに戻り、今後経済が再始動すれば、金融緩和の効果も発現してくるだろう。
それなのに、市場やメディアはイールド・カーブ・コントロール(中長期ゾーンの金利操作)、マイナス金利政策、株式買入れなどを噂し始めている。
現時点では不要であり、やりすぎというべきなのだろう。
ところが、中央銀行が実際に行動しなくても、その予感によって金融環境は変化する。
市場はさっさと追加緩和を織り込み、逆にFRBを脅迫し始めている。
織り込み通りにしないと市場が荒れる、と。
市場は本当に、各国中央銀行が政策を強化すると信じている。
市場が信じれば信じるほど、中央銀行は強化するしかなくなっていく。
これはサイクル終期の株価上昇なのか、それともバブルの発生プロセスなのか。
言うまでもなく、グリーンスパン・プットは後にバブル発生の主要因として厳しい批判を浴びることとなった。