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市場に自信を植え付けるナラティブ:ロバート・シラー

ロバート・シラー教授が、足元の米国株市場のナラティブについてコメントした。
教授は危機が訪れるとは予想しないが、やはり過去の事例は無視しきれないようだ。


「最長の強気相場についての会話は昨年ピークを迎えたようだ。
一時的な影響を市場に及ぼしたが、そのナラティブは消えつつあるようだ。
これを越えて記録的範囲まで達し、まだ伸び続け、伸び方もかなりいい。」

シラー教授がBloombergで足元のナラティブについて解説した。
最近は景気・市場に心配しているとのコメントも多かったから、教授の景況感がやや改善したのだろう。
強気相場が長く続いたからそろそろ終わるのではとの市場の懸念はいったん克服され、《強気相場は年数で終わるのではない》との市場の格言がまだ当たっている。

ファンダメンタルズよりセンチメントで市場が動いた過去の例について尋ねられると、「私は終末論者にはなりたくない」と断りつつも、2つの例を挙げている。

  • 大暴落のあった1929年の直前
    「(再来を)予想はしない。」
  • ドットコム・ブームの1999-2000年
    「ドットコム株以外にもはるかに広く買われた。
    インターネットだ。・・・
    人々がインターネットが重要になると考えたのは正しかった。
    ・・・ただ、過剰反応だったんだ。」

最近の金融メディアはもっぱら株の大幅下落が近いと言いたげな口ぶりだ。
一方、シラー教授は飄々と事実を述べる。
教授は、人々が景気後退を恐れすぎている可能性があると指摘する。
米経済史において、ほとんどの景気後退は数四半期の出来事にすぎないからだ。

「史上最長の景気後退は19世紀、1873-79年で、経済は6年もの間低下した。
それ以来そういうことは起こっていない。
景気後退は短期的なイベントであることが多い。
通常はそれほど悪いものではない。
10年前の金融危機がいつになく悪かっただけだ。」

その一方で、苦戦しているように見える現状の市場の動きにも危うさがあると示唆する。

「1920年代のキー・フレーズは
『One step down, two steps up. One step down, two steps up.』
だった。
株式市場に対する表現だ。
これが(市場参加者の)自信を強めていった。
『自分は学んだ。
株価下落を経験したが、いつも回復した。』
と考えるようになったが、実際そうだったように幻想にすぎなかった。」

シラー教授は、米国株のバリュエーションに割高感があるのか尋ねられると、心配しなければならないとは思わないと返した。
問題の設定の仕方が異なるのだ。
ピンポイントで議論すべきことではなく、全体のユニバースの中での比較の問題なのだ。
教授は、高い価格のついている国やセクターには注意すべきと話す。

米株価は世界で最も割高な水準にある。
だから、米国株は奨めない。
多くの人が愛国心からか米国に投資しすぎている。
しかし、世界や他の資産クラスにも目を向けるべきだ。


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