ウォートンの魔術師ジェレミー・シーゲル教授が、年末にかけての市場の調整の可能性を繰り返しつつも、その後については強気予想を語っている。
「すべてがインフレ次第なんだ。・・・
曲解してほしくないが、私が長くいってきたとおり、この供給側の混乱は概ね、大きすぎて満たすことのできなかった需要によってもたらされたものだ。
現在のインフレは単に供給側の現象ではなく需要側のインフレなんだ。」
シーゲル教授がウォートン・ビジネス・ラジオで、足元の米インフレの本質について語った。
マネーサプライの動向次第では、需要が高水準にとどまると示唆したものだ。
言い換えれば、高インフレを供給制約に責任転嫁する言い方を牽制したものと見られる。
シーゲル教授がインフレ昂進をいいだしたのはパンデミックに対する政策対応を見てからのことだ。
異例の大規模な財政・金融政策によって、マネーサプライが急拡大した。
単なる量的緩和ではなく、政府が大規模な財政出動を行ったことで、お金が民間に移転した。
これが、さばき切れない需要を引き起こした。
パウエル議長はエネルギー市場、原油市場で起こっていることを無視できないだろう。・・・
私はまだ年末までに調整があるのではと感じている。
おそらくパウエル議長がインフレの数字を見て、よりタカ派的になる時に起こるのだろう。
米国における財政悪化とインフレの政治的関係にはパターンがある。
拡張的財政政策が採られる時、概して国民は寛容だ。
財政赤字が増え、反対を唱える人が多くても、そこそこ許容され、結果として財政は悪化していく。
これが真剣な政治問題化するのは、財政赤字ほかがインフレを引き起こす時点だ。
国民がインフレに困り、怒り、それが政治に波及する。
シーゲル教授は、パターンの最終段階に差し掛かっていると考えているようだ。
私の予想では、FRBは引き締めに動かざるをえず、それで市場が調整するが、調整しインフレが鈍化すれば、以前通り長期的には楽観しているんだ。
今後3-6か月、短期的には試練が増え、ボラティリティが上昇するだろう。
一方、シーゲル教授は、議会で検討中の法人増税が頓挫すれば、市場にとっては大きなプラスのニュースになると指摘する。
仮にそうなれば、FRBによるインフレ退治のマイナスをオフセットするかもしれないという。