アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、16日のFOMC以降調整しているように見える米市場について、市場の受け取り方という面から解説している。
(市場のアンカーは)間違いなく弱まっている。・・・
かなり長い間(市場の)決定要因はファンダメンタルズではなく流動性だった。
エラリアン氏が、FOMCのあった今週、市場に起こったわずかな変化を解説している。
エラリアン氏は以前から、最近の市場がファンダメンタルズでなく流動性によって方向性を決められてきたと指摘してきた。
そして、その流動性には2つのエンジンがあったという。
- 民間セクターの流動性: 新たな投資家の参入
- FRBの供給する流動性: 「信じられないほど一貫した」FRBプット
エラリアン氏によれば、民間セクターの流動性はかつては市場全体を押し上げる一因だったという。
しかし、すでに特定の銘柄に集中する傾向に変化し、市場全体を押し上げる力は弱まっているという。
つまり、直前まで市場全体を支えていたのはFRBによる流動性供給であり、今そこに変化が見えるというのだ。
「水曜日の(FRB)記者会見以降特に見られたのは、FRBが供給する流動性の効果についての安心感が減ったことだ。
そのため、・・・かなり高いバリュエーションに挑もうとする人が現れた。」
エラリアン氏は、パウエル議長が記者会見中、十分な流動性供給を継続すると表明した時、「力強い」という言葉を10回も使った点を指摘した。
しかし、同氏はそれでも不足だったという。
市場は口頭のガイダンスではなく「証拠」を求めていたからだ。
投資家が詳細を見た時、金利のガイダンスについては2023年末まで具体的であると安心するだろうが、QEのガイダンスはどうか。
金利が長い間底を這う時、インパクトとしてのデルタは低下していく。
ところが、QEは繰り返し影響を及ぼす。
だから、市場はもっとQEの計画について聞けなかったことに失望したんだ。
資産価格を計算するほとんどの理論式を見ればわかる通り、金利低下は資産価格を上昇させる。
しかし、一たび金利がゼロ金利となり、それ以上の低下が見込まれないなら、もはやそこに資産価格の上昇要因を期待できなくなる。
時期はどうあれ金利が上昇する可能性はあるのだから、むしろ投資家の不安は増す。
一方、財政政策+QEで流動性が供給された場合はどうか。
それにより流動性相場が起これば、誰かがお金を払い投資する。
売った側の人は現預金を手にし、現預金に寝かせるのがいやなら、また他の投資先を物色することになる。
つまり、家計・企業の手に渡ったマネーは繰り返し市場を循環することになる。