海外経済 政治

左右に振れる振り子の第10番目の局面:レイ・ダリオ
2021年5月5日

ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏が、左に振れたバイデン政権・FRBの政策について、歴史上のサイクルという観点で論じている。


今起こったのは典型的で循環的な、つまり左右に揺れる振り子の大きなスイングだ。
振り子は
1) 大きな政府、大きな富・所得の再配分、緩い財政・金融の規律
2) 小さな政府、少ない富・所得の再配分
の間を行き来している。

ダリオ氏が自身のSNSで、バイデン大統領が矢継ぎ早に繰り出した経済政策(アメリカン・レスキュー・プラン、アメリカン・ジョブズ・プラン、アメリカン・ファミリーズ・プラン)について検証している。
規模の大きな政策の是非については賛否が分かれるのが当然だが、ダリオ氏は、やらないリスクもやるリスクも同じように存在したと論評している。
イデオロギー的議論にならないよう、分析とその結果を披露している。

ダリオ氏は、リーダーが変化を主導するわけではないという。
振り子が片方に振れすぎた時、変化を乗り切るためのリーダーが人々から選ばれるのだという。
前々回、右の政策が行き着いたのが1929-32年。
1932年にルーズベルトが振り子を左に振るために選ばれた。
その政策は1980年頃に行き着き、レーガンが振り子を右に振るために選ばれた。
それが2020年まで続いたのだという。

わかりやすい読み物なので、読者自身が読まれることをお勧めしよう。
ここでは下世話な観点から面白かった2点を紹介する。

1つ目はバイデン増税案のインパクト試算。

「バイデンの政策が提案通り通過すると、もっとも裕福なアメリカ人が生涯払う税金が4-6%増える。
私たちの推計では、生涯でこれら税金が彼らの財産の半分以上を奪うことになる。」

すごいお金持ちが払う税金がすごい額になっても心配は要らない。
ただ、価値観を交えず、興味深い話だろう。
これもある種の複利の魔法であり、この魔法は本当に強力なのだ。

次に、投資家は、とかく循環(サイクル)という言葉に敏感だ。
左右に振れる振り子が繰り広げるサイクルとはどんなものなのか、概略を見ておこう。

  1. 右派/資本家が狂騒の20年代に債務拡大、投機バブル、大きな富の格差を生み出す。
  2. 債務とマネー不足により大恐慌に。
  3. ルーズベルトによる大規模刺激策で債務拡大。貨幣価値低下(金本位制停止)、増税。
  4. 世界の金融市場の疲弊、第2次世界大戦。
  5. 米国の覇権、ドルが基軸通貨に。
  6. 左派の政策が継続。
  7. ニクソンによる金本位制(金ドル本位制)停止と債務・貨幣の増発。
  8. 高インフレ、政府債務拡大、効率低下、労働組合の力増大。
  9. サッチャー、レーガン、コールが選出され、振り子は右へ。
  10. 典型的な左の政策へ(バイデン、FRB)。

この最後(つまり現在)の局面について、ダリオ氏は揺るがぬ見解を付している。

これは1930年代と似ている。
こうした政策は、今後数年迎えるであろう新たなパラダイムの影響を定義する上で重要になろう。

ダリオ氏を信じてみるとして、問題は2と3がすでに起こった後なのか、ということではないか。


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