日本銀行

 

小黒一正教授:異次元緩和の出口は財政再建で

元財務官僚で法政大学教授の小黒一正氏が、日銀の異次元緩和の出口に待ち受ける高いハードルについて指摘している。
異次元緩和の出口とは財政再建によって切り開かれると示唆している。


「バランスシートの縮小には、日銀が年間にネットで買い取る長期国債の量を、財政赤字(新規国債発行)の約30兆円未満まで縮小する必要がある。
財政赤字の約30兆円を超えて買い取る場合、民間が保有する国債を日銀が吸収し、日銀のバランスシートの膨張は続くため、理論的に異次元緩和は手じまいできない。」

小黒教授は週刊エコノミストで、日銀のバランスシート縮小の条件を書いている。
日銀は昨年9月の「総括的な検証」まで年間約80兆円、その後のいわゆるステルス・テーパリングが始まった後も年間約50兆円の国債を買い入れている。
日銀のバランスシートは縮小からは遠い状況だ。
(なお、日銀のネット買入れ額が30兆円を切ったとしても、ネットで買入れが続く場合、日銀のバランスシートは拡大を続けると考えるべきだろう。)

欧米の中央銀行が金融政策正常化に向かおうとする中、日銀の動向が注目されている。
もしも、日銀も金融政策正常化、とりわけバランスシート縮小に向かう場合、2つの可能性が考えられるという。


  • 金利上昇シナリオ
    年間買入れ額を30兆円未満に減らすと、ネットで民間の保有する国債が増えることになる。
    これは長期金利上昇の要因となる。
  • 金融抑制シナリオ
    欧米が金利上昇を迎える場合でも、円金利を低位に抑え込もうとする場合。
    「金利ギャップが拡大し、高い利回りを求めてマネーが国外に流出するため、円安が進行するだろう。
    そして、円安は最終的に輸入物価の上昇を通じてインフレ率を押し上げ、結局のところ、それは名目の長期金利に上昇圧力をもたらす。」

つまり、日本経済は低迷を続けるか、ある程度の金利上昇を迎えるかしかないのである。
そして、物価上昇率はともかく、少なくとも足元の経済の状況は低迷とは言えなくなっている。
幸い欧米の金利上昇ペースが緩慢なため助けられているが、海外の金利上昇が進めば、日本でも金利上昇が避けられなくなる可能性がある。
その時問題となるのは言うまでもなく財政へのインパクトだ。
残念なことに、今回の衆議院選挙を見る限り、この点に明確な展望を示している勢力は皆無だ。
小黒教授は極めて重要な点を指摘している。

日銀のバランスシートを縮小するためには、財政再建を進め、新規国債発行量を縮小することが重要である。
それが進捗すれば、日銀が買い取る長期国債の量が減少していっても、長期金利の上昇圧力を抑制できるはずである。

財政再建を行い、国債の発行残高を減少に転じることができれば、たとえ日銀がいくらか保有国債を減らしても、国債市場がだぶつくことはない。
発行残高を減少に転じさせることはできなくても、十分に増加ペースを小さくできれば、日銀のバランスシート縮小は小さなものにできるとの考えである。


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